カルビは、焼き始めの一枚目がとにかくおいしい肉です。
熱々のカルビを口へ入れると、溶けた脂の甘みと焼けた肉の香りが広がります。「やっぱり焼肉はカルビだな」と思う人も多いでしょう。
ところが、三枚、四枚と食べ進めるうちに、だんだん脂が重くなってきます。
「昔はもっと食べられたのに」
「おいしいけれど、食後の胃もたれが心配」
「ホットプレートで焼くと、店で食べるより脂っこく感じる」
そんな悩みを抱えている人も少なくありません。
私は食品スーパー5社の精肉部門で、約25年間働いてきました。カルビをはじめ、さまざまな牛肉を整形し、スライスし、商品として売場へ並べてきました。
その経験から感じるのは、カルビの脂をすべて悪者にする必要はないということです。脂があるからこそ、カルビらしいやわらかさやコクを楽しめます。
ただし、肉から出た脂をホットプレートへためたまま焼き続けたり、大きな脂の塊まで無理に食べたりすれば、さすがに重くなります。
脂の多いカルビをさっぱり食べるポイントは、脂を完全になくすことではありません。
余分な脂を出し、プレートから取り除き、口の中に入る脂の量を調整することです。
この記事では、脂の多いカルビの選び方と下ごしらえ、ホットプレートに脂をためない焼き方、さっぱり食べられる薬味や料理を詳しく紹介します。
なお、胃もたれの感じ方には個人差があります。今回紹介する方法で必ず胃もたれを防げるわけではありません。体調がすぐれないときや、脂を食べると強い不調が出るときは、無理をせず量を控えてください。
脂の多いカルビは「脂を出して残さない」と食べやすくなる

脂の多いカルビを少しでもさっぱり食べたいなら、最初に意識してほしいことが三つあります。
- 高めの温度で表面を焼き、余分な脂を外へ出す
- プレートに流れ出た脂を、そのまま放置しない
- 濃いタレを大量に絡めず、酸味や薬味を利用する
特に大切なのが、ホットプレートへ出た脂をこまめに取り除くことです。
カルビから脂が出ること自体は、悪いことではありません。肉の中にあった余分な脂が外へ出ているからです。
問題は、その脂の上で次の肉を焼くことです。
プレートに脂がたまった状態で焼き続けると、カルビから出た脂を次のカルビがまといます。肉を焼いているつもりでも、実際には大量の脂で揚げ焼きしているような状態になりかねません。
ホットプレートで焼いたカルビが、焼肉店の網焼きより重く感じやすい理由の一つです。
さっぱり食べるために最も大切な3つのポイント
一つ目のポイントは、ホットプレートをしっかり予熱することです。
温度が低い状態で肉を置くと、表面に焼き色が付くまで時間がかかります。肉汁と脂がゆっくり流れ出し、カルビが脂の中で煮えるような状態になります。
二つ目は、一度に大量の肉を並べないことです。
家族でホットプレートを囲むと、空いている場所へ次々と肉を置きたくなります。しかし、肉を一度に置きすぎるとプレートの温度が下がります。焼き色が付きにくくなり、水分と脂がプレートにたまりやすくなるのです。
三つ目は、一回焼くごとに脂を確認することです。
プレートの表面に透明な脂が広がってきたら、次の肉を置く前にキッチンペーパーで吸い取ります。ほんのひと手間ですが、後半に焼いた肉の重さがかなり変わります。
精肉の仕事を長くしている私でも、カルビの脂を完全に取り除こうとは思いません。牛脂には、赤身だけでは出せない香りとコクがあるからです。
すべて拭き取るのではなく、プレートにたまった余分な分を取り除く。このくらいの感覚がちょうどよいと思っています。
レモンや大根おろしだけで脂がなくなるわけではない
カルビをさっぱり食べる方法として、レモンや大根おろし、ポン酢は非常に役立ちます。
ただし、レモンをかけたからといって、肉に含まれる脂が消えるわけではありません。
酸味や大根おろし、香味野菜には、口の中に残る脂っぽさを軽く感じさせる働きが期待できます。濃くて甘いタレより後味が軽いため、脂の多いカルビとも相性がよいのです。
しかし、レモンをかければ何枚食べても同じということではありません。
肉の端に付いた大きな脂の塊まで食べ、プレートにたまった脂をまとわせ、さらに濃いタレを付ければ、レモンだけで軽くするのは難しいでしょう。
まず焼き方で余分な脂を減らし、そのうえで酸味や薬味を使う。この順番が大切です。
精肉担当として感じる「おいしい脂」と「多すぎる脂」の違い
牛肉の白い部分は、すべて同じように見えるかもしれません。
しかし、赤身の中へ細かく入った脂と、肉の端に大きく付いた脂では、食べたときの印象が違います。
赤身の中へ細かく入った脂は、加熱すると肉全体になじみ、やわらかさやジューシーさにつながります。一方、肉の端に付いた大きな脂は、一口の中へまとまって入ります。
もちろん、脂身が好きな人にとっては、その塊もカルビの魅力です。
ただ、さっぱり食べたいときまで、すべての脂を無理に食べる必要はありません。大きく張り出した脂を少し切り落としても、カルビらしい味は十分に残ります。
「白い部分が多い肉ほど高級でおいしい」と思われがちですが、私は必ずしもそうは考えていません。
大切なのは赤身と脂のバランスです。家族の年齢、好み、食べる量に合った肉のほうが、最後までおいしく食べられます。
カルビが脂っこく、胃にもたれやすく感じる理由

カルビを食べた後に重く感じる理由は、肉の脂だけではありません。
肉の部位や脂の入り方、焼き方、タレ、白米、お酒、食べる時間帯など、いくつもの要素が重なります。
「カルビは胃にもたれる肉だから仕方がない」と諦める前に、どこで脂や食事量が増えているのかを確認してみましょう。
カルビは特定の一部位だけを指す名前ではない
スーパーや焼肉店で使われる「カルビ」は、焼肉用に切られたバラ周辺の肉を指すことが多い名称です。
ただし、すべてのカルビが同じ部位、同じ脂の量というわけではありません。
中バラ、外バラ、肩バラに近い部分など、使われる場所によって赤身と脂の割合が変わります。骨の周辺にある肉が使われる場合もあれば、焼肉向けの商品名として広い意味でカルビと表示される場合もあります。
同じスーパーでも、国産牛カルビ、輸入牛カルビ、味付けカルビでは、厚さや脂の付き方が違います。
昨日買ったカルビは食べやすかったのに、今日買ったものは脂が多かったということも十分に起こります。
私は売場で、「前に買ったカルビはちょうどよかったのに、今回は脂が多かった」と相談を受けたことがあります。同じ商品名であっても、原料の個体差や切り出す位置によって、脂の割合を完全にそろえるのは簡単ではありません。
商品名だけで判断せず、実際にパックの中を見比べることが大切です。
赤身の中の脂と、肉の端に付いた脂の塊は食べた印象が違う
カルビの白い部分を見るときは、量だけでなく入り方を確認してください。
赤身の中へ細い線や点のように入っている脂は、一般にサシや霜降りと呼ばれます。加熱すると溶けやすく、赤身のパサつきを抑え、牛肉らしいコクを生みます。
一方、肉の端に付いた厚い脂は、加熱しても一度にすべて流れ出るとは限りません。
表面だけが焼け、中に脂が残ることもあります。その部分を丸ごと食べると、口の中へ入る脂の量が多くなります。
また、白い部分がすべて脂とは限りません。
赤身を横切る白い帯や、表面に張り付いた半透明の膜は、スジや筋膜の場合があります。脂だと思って選んだのに、食べるとゴムのように残ることもあるため、形や入り方まで確認しましょう。
脂とスジの詳しい見分け方については、牛切り落としを炒めるとゴムみたいに固い!白い部分が「脂かスジか」を見分ける方法でも解説しています。
ホットプレートは溶けた脂が逃げにくい
焼肉店の網や穴あきプレートでは、肉から出た脂が下へ落ちます。
ところが、家庭でよく使われる平らなホットプレートでは、出た脂が表面に残ります。プレートがわずかに傾いていても、脂が完全に流れ落ちるわけではありません。
そこへ次のカルビを置くと、肉から脂を出すどころか、外側へさらに脂を付けることになります。
特に後半になると、焼肉のタレ、肉汁、焦げた調味料、脂が混ざります。その上で肉を焼けば、味も重くなり、煙や油はねも増えます。
野菜も同様です。
ナス、キャベツ、キノコなどは、プレートに残った脂を吸いやすい食材です。「野菜も一緒に食べているから大丈夫」と思っていても、野菜がカルビの脂をたっぷり吸っていることがあります。
ホットプレートでさっぱり食べるなら、肉だけでなく、プレートに何が残っているかを見る必要があります。
肉だけでなくタレ・白米・酒の組み合わせでも重くなる
焼肉の日は、カルビだけを食べるわけではありません。
甘い焼肉のタレをたっぷり付け、白米を何杯も食べ、ビールや炭酸飲料を飲みます。最後に焼きそばやチャーハンを作る家庭もあるでしょう。
カルビ一枚の脂だけでなく、食事全体の量が増えやすいのです。
特に空腹の状態で焼肉を始めると、最初の10分ほどでカルビと白米を勢いよく食べてしまいます。満腹を感じるころには、すでに食べすぎていることがあります。
「カルビを食べると必ず胃がもたれる」と感じている人は、肉の枚数だけでなく、タレ、ご飯、飲み物、締めの料理まで一度振り返ってみてください。
脂の少ない肉でも、食べる量が多ければ重く感じる場合があります。
反対に、脂のあるカルビでも、少量ずつ焼き、野菜や赤身肉を間に挟みながらゆっくり食べれば、最後まで楽しみやすくなります。
脂の少ないカルビの選び方と焼く前の下ごしらえ

カルビをさっぱり食べられるかどうかは、ホットプレートへ置く前からある程度決まっています。
脂の多すぎるパックを選び、さらに油を引き、甘いタレへ長時間漬け込めば、焼き方だけで軽く仕上げるのは難しくなります。
まずは、家庭焼肉で扱いやすいカルビを選びましょう。
パックは表面だけでなく横と底も見る
スーパーでカルビを選ぶとき、多くの人はパックの表面だけを見ます。
もちろん、表面を見ることは大切です。ただ、肉は重なって盛り付けられているため、表面だけではパック全体の脂の量が分かりません。
透明なトレーであれば、パックを持ち上げず、売場に置いた状態で少し角度を変えて横から見てください。
底に大きな脂の塊が偏っていないか、表面と下の肉で赤身の割合が極端に違わないかを確認します。
パックを逆さにしたり、強く押したりする必要はありません。他のお客様も購入する商品なので、やさしく見るだけで十分です。
あわせて、トレーの底に赤いドリップが大量にたまっていないかも確認してください。
ドリップが多い肉は、加熱したときにも水分が出やすくなります。プレートの温度が下がり、きれいな焼き色が付きにくくなることがあります。
私が自宅用のカルビを選ぶなら、次のようなパックを探します。
- 赤身部分がある程度しっかり見える
- 細かな脂は入っているが、大きな脂の塊が多すぎない
- 肉の厚さがおおむねそろっている
- ドリップが少ない
- 肉が強く押し潰されていない
値段が一番高いパックではなく、家族が食べやすいバランスのパックを選ぶのが私の本音です。
「白いほど上質」とは限らない
売場では、白い脂が細かく入った牛肉が華やかに見えます。
贈答用や特別な日の肉として、霜降りのカルビを選ぶのもよいでしょう。しかし、白く見える面積が広ければ、必ず自分にとって食べやすいとは限りません。
脂の甘みを楽しみたい人と、赤身の味を楽しみたい人では、好みが違います。
若いころは脂の多いカルビを何枚でも食べられた人が、年齢とともに赤身を好むようになることもあります。それは肉を楽しめなくなったのではなく、好みや適量が変わっただけです。
家族全員の好みが違う場合は、カルビだけを大量に買わず、赤身の焼肉用、モモ、ハラミ、鶏肉などを組み合わせる方法もあります。
脂の多い肉と少ない肉を交互に食べると、カルビのコクもかえって分かりやすくなります。
大きな脂の塊は焼く前に少し切り落とす
パックを開けてから、大きな脂の塊に気づくこともあります。
その場合は、無理に全部食べる必要はありません。肉の端から大きく張り出している脂だけを、包丁やキッチンばさみで少し切り落とします。
赤身の中へ入っている細かな脂まで取り除こうとすると、肉が小さくなり、カルビらしい味も失われます。
切るのは、指でつまめるほど大きく、明らかに白い塊になっている部分だけで十分です。
切り取った脂は、赤身肉や野菜を焼くときの牛脂として少量使えます。ただし、脂の多いカルビを焼く日であれば、追加の牛脂はほとんど必要ありません。
余った脂を使い切ろうとして、すべてプレートへ入れてしまっては逆効果です。使わない分まで無理に料理へ入れないようにしましょう。
肉の表面の水分をキッチンペーパーで軽く押さえる
カルビの表面にドリップや解凍時の水分が付いている場合は、キッチンペーパーで軽く押さえます。
水分が多いままプレートへ置くと、肉を焼くというより蒸すような状態になります。表面に焼き色が付きにくく、必要以上に長く加熱する原因になります。
ただし、肉を強く押して水分を絞る必要はありません。
表面に見える水分を軽く取るだけで十分です。生肉を水で洗う必要もありません。水しぶきによって、シンクや周囲へ汚れが広がる可能性があります。
生肉を触った手、包丁、まな板はよく洗い、生肉用のトングと焼けた肉を取る箸も分けてください。
甘いタレへの長時間漬け込みは避ける
味付けカルビは手軽でおいしい一方、ホットプレートでは焦げやすい商品です。
焼肉のタレには、砂糖や果物、みりんなどが使われていることがあります。こうしたタレをたっぷり付けた肉を高温のプレートへ置くと、肉より先にタレが焦げます。
焦げを避けるために温度を下げすぎると、今度は脂と水分がたまりやすくなります。
さっぱり食べたいときは、味の付いていないカルビを選び、塩を軽く振る程度で焼く方法がおすすめです。タレは焼き上がってから、肉の先へ少量付けます。
味付け肉を使う場合は、表面に付いたタレをプレートへ大量に流し込まないようにしてください。肉を取り出した後も、焦げたタレをキッチンペーパーで拭いてから次の肉を焼きます。
ホットプレートで脂を残さないカルビの焼き方

ここからは、家庭のホットプレートでカルビを焼く手順を具体的に説明します。
大切なのは、特別な調理器具や高価なプレートを用意することではありません。
しっかり予熱する、一度に置きすぎない、焼けたらすぐ取り出す、たまった脂を拭く。この基本を守るだけでも、仕上がりは変わります。
ホットプレートは200〜230℃を目安にしっかり予熱する
一般的なホットプレートでは、200〜230℃程度を一つの目安にします。
ただし、機種によって温度表示や火力、プレートの厚さが違います。取扱説明書を確認し、焼肉に適した温度へ設定してください。
予熱が終わる前に肉を並べると、肉から水分が出やすくなります。ホットプレートの予熱完了ランプがある場合は、それを待ってから焼き始めましょう。
肉を置いたとき、すぐに「ジュッ」と音がする状態が目安です。
音がほとんどせず、肉の周囲へ水分がにじむ場合は、温度が低い可能性があります。反対に、置いた瞬間からタレや脂が激しく煙を出す場合は、温度が高すぎるか、プレートに焦げが残っています。
カルビは脂が多いため、焼いている途中で火力を調整することも必要です。最初から最後まで最高温度に固定するのではなく、煙や焦げの状態を見て調整してください。
油や牛脂は引かず、脂身の多い部分から焼く
脂の多いカルビを焼くときは、基本的にサラダ油や牛脂を追加する必要はありません。
カルビを数枚焼けば、肉そのものから十分な脂が出ます。
どうしても焦げ付きが心配なプレートであれば、キッチンペーパーに少量の油を含ませ、ごく薄く塗る程度にします。プレートに油が流れるほど入れる必要はありません。
最初に焼く肉を選べるなら、脂身がやや多い一枚から焼いてもよいでしょう。そこから出た脂を薄く広げれば、後の肉が付きにくくなります。
ただし、大きな脂の塊を牛脂代わりに何個も置くと、すぐに脂だまりができます。
表面をなじませる程度で取り出し、余った脂をいつまでもプレートへ置かないようにしてください。
一度に並べるのはプレートの半分程度まで
大きなホットプレートを見ると、空いている場所をすべて肉で埋めたくなります。
しかし、肉を一度に置くほど、プレートの温度は大きく下がります。特に冷蔵庫から出したばかりの肉を大量に置くと、再び温度が上がるまで時間がかかります。
その間に肉から水分と脂が流れ出し、焼き色が付きにくくなります。
目安として、最初はプレートの半分程度を使い、肉同士が触れないように並べてください。
家族分を一度に焼くより、二回、三回に分けたほうが、結果的に短時間で仕上がります。一枚ずつの焼き上がりも安定します。
空いた半分を野菜用に使う場合は、肉から出た脂が野菜側へ流れ続けないようにしてください。脂が流れる向きが分かるプレートなら、脂のたまりやすい側を肉用にし、こまめに拭き取ります。
何度も裏返さず、片面に焼き色が付いてから返す
肉を置いた直後は、つい箸で動かしたくなります。
焦げていないか気になって、何度も裏返す人もいるでしょう。しかし、頻繁に動かすと表面へきれいな焼き色が付きにくくなります。
まず片面を焼き、肉の縁の色が変わり、焼いている面に香ばしい色が付いたら裏返します。
反対側は、最初の面より短い時間で火が通ることがあります。
カルビの厚さは商品によって大きく異なるため、「片面を必ず何秒」と決めることはできません。薄い肉と厚い肉を同じ時間焼けば、どちらかが焼きすぎ、または加熱不足になります。
肉の厚さ、色、表面から出る肉汁を見ながら調整し、中心まで適切に加熱してください。
脂を落としたいからといって、黒く硬くなるまで焼くのもおすすめしません。確かに脂は減りますが、赤身の水分まで抜け、カルビのよさがなくなってしまいます。
「余分な脂を出すこと」と「肉を焼きすぎること」は別です。
焼けた肉をプレートの端へ放置しない
焼けたカルビをプレートの端へ寄せ、保温しながら次の肉を焼くことがあります。
家庭の焼肉ではよく見る光景ですが、さっぱり食べたいときは避けたほうがよい方法です。
プレートの端でも熱は入っています。肉は少しずつ加熱され、赤身の水分が抜けます。さらに、流れてきた脂やタレを外側へまといます。
せっかくちょうどよく焼けた肉が、食べるころには脂っこく、硬くなってしまうのです。
焼けた肉は清潔な取り皿へ移し、なるべく温かいうちに食べましょう。
生肉を置いた皿へ焼けた肉を戻さないことも大切です。生肉用のトングと、食べる箸も分けてください。
1回焼くごとにキッチンペーパーで脂を拭き取る
ホットプレートで脂の多いカルビを焼くとき、最も効果を実感しやすいのが脂の拭き取りです。
一回分の肉を取り出したら、プレートの表面を見てください。
透明な脂が広がっていたり、一部に脂がたまっていたりする場合は、次の肉を置く前にキッチンペーパーで吸い取ります。
手で直接拭くとやけどをする危険があるため、菜箸やトングで厚めに折ったキッチンペーパーを持ってください。プレートの縁やヒーター部分へ脂を押し流さず、上から吸わせるように取ります。
脂を完全に取り切る必要はありません。プレートの表面へ薄く残る程度なら、肉の焦げ付きを抑える役割もあります。
池のようにたまった脂と、黒く焦げたタレを取ることが目的です。
この作業を途中で一度するだけでも違いますが、脂の多いカルビなら一回焼くごとに確認するのがおすすめです。
焼肉の後半ほど脂っこく感じる家庭は、ぜひ試してみてください。
肉と野菜を同じ場所で焼き続けない
野菜をカルビの横で焼くと、肉のうま味を吸っておいしくなります。
その一方で、野菜が大量の脂を吸うこともあります。
特にナスは油を吸いやすく、カルビの脂が多く残った場所で焼くと、見た目以上に重くなります。キャベツやキノコも、脂とタレが混ざった水分を吸います。
肉のうま味を少し吸わせる程度なら問題ありませんが、脂だまりの中へ野菜を置かないようにしてください。
プレートの片側を肉用、もう片側を野菜用に分ける方法があります。肉を焼き終えた場所で野菜を焼く場合は、先に余分な脂を拭き取ります。
焼きそばやチャーハンを締めに作る場合も同じです。
プレートに残った脂をすべて麺やご飯へ吸わせると、最後の料理が非常に重くなります。牛脂の香りを残すために少量だけ使い、余分な脂は取り除いてから調理しましょう。
穴あき・波型プレートがあれば活用する
ホットプレートに焼肉用の穴あきプレートや、表面に溝のある波型プレートが付属している場合は、カルビを焼くときに活用できます。
肉から出た脂が溝へ流れたり、穴から下へ落ちたりするため、平らなプレートより脂が残りにくくなります。
ただし、受け皿へ水を入れるタイプや、使用後に分解して洗うタイプなど、製品によって扱い方が違います。必ず取扱説明書に従ってください。
専用プレートがないからといって、新しい器具を買わなければならないわけではありません。
平らなプレートでも、肉を詰め込まず、焼けたら取り出し、出た脂をこまめに拭けば十分に対応できます。
道具以上に大切なのは、脂をプレートへ放置しないことです。
カルビをさっぱり食べるタレ・薬味・付け合わせ

焼き方で余分な脂を減らしたら、次は味付けを工夫します。
濃いタレをたっぷり付けたカルビもおいしいのですが、最初から最後まで同じ味で食べ続けると、甘さと脂が重なりやすくなります。
酸味、辛味、香りのある薬味を組み合わせ、途中で味を切り替えましょう。
大根おろしとポン酢は「肉にのせて」食べる
脂の多いカルビと相性がよい定番は、大根おろしとポン酢です。
大根おろしは水気を軽く切り、焼き上がった肉へ少量のせます。小ネギや大葉を加え、ポン酢を数滴かければ、濃い焼肉のタレとは違う軽い後味になります。
ポイントは、肉をポン酢の中へ何度も沈めないことです。
ポン酢を大量に付けると、酸味と塩味が強くなり、肉の味が分かりにくくなります。大根おろしへ少量含ませ、肉と一緒に食べるくらいで十分です。
大根おろしが脂をすべてなくしてくれるわけではありませんが、口の中に残る脂っぽさを切り替えやすくしてくれます。
レモン塩・わさびしょうゆ・梅だれで味を切り替える
一つのタレだけで食べ続けず、小さな薬味皿を二つ、三つ用意すると、カルビを飽きずに楽しめます。
手軽なのはレモン塩です。
レモン汁へ塩を大量に混ぜるのではなく、焼けた肉へ塩をほんの少し付け、その上からレモンをかけます。黒こしょうを加えてもよいでしょう。
わさびしょうゆも、牛肉の脂とよく合います。
しょうゆを付けすぎず、わさびを少量のせると、カルビの甘みを残しながら後味を変えられます。
たたいた梅干しに刻んだ大葉を混ぜた梅だれもおすすめです。梅干しには塩分があるため、しょうゆや塩を重ねすぎないようにしてください。
薬味は、脂を消すためのものではありません。
少ない調味料でも満足できるように、香りと味の変化を付けるものと考えるとよいでしょう。
タレは「かける」より「少量付ける」
焼肉のタレを肉全体へたっぷりかけると、余ったタレがプレートへ落ちます。
そのタレが煮詰まり、脂と混ざると、次に焼く肉へ濃い味が付きます。焦げや煙の原因にもなります。
タレはプレートへかけず、取り皿へ少量入れ、焼けた肉の先だけを付けましょう。
味の順番を変える方法もあります。
最初の一枚は塩、次はレモン、途中で焼肉のタレ、後半はおろしポン酢というように食べれば、甘いタレを使う量を抑えながら、最後まで変化を楽しめます。
私は肉の味を確認したいとき、最初から濃いタレには付けません。まず何も付けずに少し食べ、その後で塩やタレを足します。
カルビの脂が十分に甘ければ、意外と少ない調味料でも満足できます。
合わせるなら生野菜・香味野菜・汁物
カルビを包んで食べるなら、サンチュやレタスが使いやすいでしょう。
大葉、白髪ネギ、キュウリ、カイワレ、ミョウガなどを一緒に包むと、食感と香りが加わります。一枚のカルビを野菜と一緒にゆっくり食べられるため、肉だけを連続して口へ運ぶことも減ります。
汁物を添えるなら、ワカメスープや野菜スープなど、味の濃すぎないものが向いています。
ただし、野菜やスープを食べれば、カルビの脂が帳消しになるわけではありません。
食事全体のバランスを整え、口の中を切り替えながら、食べる速度を落とすための組み合わせと考えてください。
カルビだけを連続して食べない
脂の多いカルビを最初から最後まで食べ続ければ、どうしても重くなります。
カルビを二枚ほど食べたら、野菜や赤身肉を挟む。スープを一口飲み、次の肉が焼けるまで少し待つ。このように間を作るだけでも、勢いで食べすぎるのを防ぎやすくなります。
ホットプレートいっぱいに肉を並べないことも、食べる速度の調整につながります。
焼けた肉が目の前へ何枚も並んでいると、冷める前に食べようとして早食いになりがちです。
一人二枚程度ずつ焼き、食べ終わってから次を焼くくらいで構いません。
カルビは量を競う肉ではありません。少ない枚数でも、焼きたてを味わったほうが満足しやすいと私は思います。
脂の多いカルビをおいしく食べ切るさっぱり料理

脂の多いカルビは、焼肉のタレで食べるだけが正解ではありません。
薬味や野菜を組み合わせたり、肉を小さく切って料理全体へ散らしたりすれば、脂のコクを生かしながら重さを抑えられます。
パックを開けて「思っていたより脂が多い」と気づいたときにも使える料理を紹介します。
おろしポン酢カルビ
最も簡単なのは、おろしポン酢カルビです。
まず、カルビの端に大きく張り出した脂があれば、少し切り落とします。ホットプレートやフライパンには油を引かず、カルビを重ならないように並べます。
両面を焼き、中心まで適切に火を通したら、清潔な皿へ取り出します。
軽く水気を切った大根おろし、小ネギ、大葉をのせ、ポン酢を少量かけてください。好みで七味唐辛子や柚子こしょうを添えてもよいでしょう。
プレートに大量の脂が出た場合は、次の肉を焼く前に拭き取ります。
大根おろしを肉へ山盛りにする必要はありません。カルビ一枚に対し、肉と一緒に無理なく口へ入る程度で十分です。
カルビと香味野菜のレタス包み
カルビ一枚をそのまま食べると脂が強い場合は、焼いた後に半分ほどの大きさへ切ります。
レタスやサンチュにカルビをのせ、大葉、白髪ネギ、細切りキュウリなどを加えて包みます。
味付けは、ポン酢、レモン塩、少量の焼肉のタレなど、好みのもので構いません。
コチュジャンを使う場合は、甘いタレと重ねすぎないようにします。濃い味をいくつも重ねるより、香味野菜の香りを生かしたほうが、カルビを軽く感じられます。
一枚の肉を野菜と一緒に食べるため、噛む回数が自然に増えます。カルビだけを急いで食べるより、満足感も得やすいでしょう。
カルビとキャベツの蒸し焼き
野菜と一緒に料理したい場合は、最初から肉と野菜をすべて混ぜないことがポイントです。
まずカルビだけを焼き、表面に焼き色を付けます。大量の脂が出たら一部を拭き取り、肉をいったん清潔な皿へ移します。
次に、ざく切りのキャベツ、モヤシ、キノコなどをプレートへ広げます。酒を少量加え、ふたをして短時間蒸してください。
野菜へ火が通ったらカルビを戻し、全体をさっと合わせます。仕上げはポン酢、柚子こしょう、塩とレモンなどが合います。
肉を最初から最後まで野菜と一緒に蒸すと、カルビの脂がすべて野菜へ移りやすくなります。
先に肉から余分な脂を出し、量を調整してから野菜を加えることで、牛肉のコクを残しつつ、脂だらけになるのを防げます。
カルビのさっぱり焼きしゃぶ
薄い焼肉用カルビなら、焼きしゃぶ風にもできます。
肉を広げてプレートへ置き、焼けた部分から手早く裏返します。中心まで適切に火を通したら、加熱しすぎる前に取り出してください。
焼けた肉で大根おろし、白髪ネギ、大葉などを巻き、ポン酢を少量付けて食べます。
厚いカルビを焼きしゃぶのように短時間で仕上げると、中心が十分に加熱されないおそれがあります。この料理には、広げやすい薄切り肉を使ってください。
厚い肉は無理に同じ方法で焼かず、表面を焼いた後、火力を調整しながら中心まで加熱します。
翌日は刻んで野菜炒めやチャーハンへ少量使う
焼肉用のカルビが余った場合は、翌日に一枚ずつ温め直して食べるより、細かく刻んで料理のコク出しに使う方法があります。
焼いたカルビを小さく切り、タマネギ、ピーマン、ネギなどと炒めます。カルビの脂があるため、追加の油は控えめで構いません。
チャーハンに使う場合も、肉を大量に入れる必要はありません。細かく刻んだカルビを少量散らすだけで、牛肉の香りとコクが全体へ広がります。
最初にカルビを温め、脂が多く出たら一部を拭いてから野菜やご飯を加えます。
焼いた肉を保存するときは、食卓へ長時間置いたままにしないでください。清潔な容器へ移し、早めに冷蔵します。保存状態に不安がある肉は無理に食べず、再加熱するときも中心まで十分に温めましょう。
どうしても脂が重いなら赤身の部位へ替えてよい
焼き方や薬味を工夫しても、脂の多いカルビが重く感じることはあります。
その場合は、無理にカルビを食べ続ける必要はありません。
牛モモ、ランプなどの赤身が多い肉へ替えたり、カルビを一人二枚だけにして他の肉と組み合わせたりすればよいのです。
「焼肉ならカルビをたくさん食べなければもったいない」と考える必要はありません。脂をおいしいと感じる量は、人によって違います。
私も精肉の仕事を始めたころと今では、自宅で選ぶ肉のバランスが変わりました。昔よりも、脂の量だけでなく、赤身の味や食後の軽さを見るようになっています。
肉の好みが変わるのは、悪いことではありません。
赤身肉は脂が少ない反面、焼きすぎるとパサつきやすいため、カルビと同じ焼き方は向きません。牛モモをやわらかく焼く方法は、牛ももステーキがパサパサになる3つの原因|サーロインと同じ焼き方ではダメですで詳しく解説しています。
まとめ|カルビは余分な脂をプレートに残さないのがコツ

脂の多いカルビをさっぱり食べるために、脂をすべて取り除く必要はありません。
カルビの脂は、肉のやわらかさ、甘み、香りを生み出す大切な要素です。
一方で、大きな脂の塊や、ホットプレートへ流れ出た脂まで食べる必要はありません。
家庭のホットプレートで焼くときは、次の点を意識してください。
- 赤身と脂のバランスがよいカルビを選ぶ
- 大きく張り出した脂は焼く前に少し切る
- ホットプレートをしっかり予熱する
- サラダ油や牛脂を追加しすぎない
- 肉を一度に詰め込まない
- 焼けた肉をプレートの端へ放置しない
- 一回焼くごとに、たまった脂を拭き取る
- 甘いタレだけでなく、レモンや大根おろし、香味野菜を使う
- カルビだけを連続して食べず、赤身肉や野菜を間に挟む
特に重要なのは、肉から出た脂をプレートへ残したまま、次の肉を焼かないことです。
私は精肉の仕事を約25年続けてきましたが、脂は多ければ多いほどよいとは考えていません。
残したいのは、カルビをおいしくする脂です。取り除きたいのは、プレートにたまり、次の肉や野菜へまとわり付く余分な脂です。
その違いを意識すれば、脂の多いカルビも最後までおいしく、以前より軽い食べ心地で楽しみやすくなります。


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