唐揚げを作ろうと鶏もも肉を切ったら、身は切れているのに皮だけがつながっている。ようやく切れたと思って持ち上げると、隣の肉まで一緒についてくる。
何度も包丁を動かしているうちに肉の形が崩れ、まな板の上は肉汁でべたべた。「鶏肉を切るだけで、どうしてこんなに疲れるんだろう」と感じたことはありませんか。
夕食の準備を急いでいるときほど、こうした小さな引っかかりが面倒ですよね。
先にお伝えすると、鶏もも肉の皮が切れないときは、力を加える前に、包丁の切れ味・皮のしわや重なり・刃の動かし方を見直してみてください。すでにつながっている皮は、食品用のキッチンばさみで切り離しても構いません。
私は食品スーパーの精肉部門で約25年働き、5社のスーパーを経験してきました。肉の加工や売場の仕事を通じて感じるのは、肉の扱いやすさは、部位だけでなく道具と作業の組み合わせでも変わるということです。
家庭では、店と同じ速さで切る必要はありません。包丁とばさみを使い分けながら、無理なく下ごしらえできれば十分です。
この記事では、皮だけつながる原因から具体的な切り方、キッチンばさみの選び方、おすすめ5選まで、普段の料理で役立つ形でお話しします。
① 鶏もも肉の皮が切れない…まずは力任せに切るのをやめてみよう

身は切れているのに、皮だけつながるのはよくある悩み
鶏もも肉は、やわらかい身と、滑りやすく伸びる皮が組み合わさっています。見た目には一切れずつに分かれていても、裏側に薄い皮が残っていることがあります。
包丁を使い慣れていないから起きる、と決めつけなくて大丈夫です。切れ味が落ちた包丁、しわになった皮、不安定なまな板など、いくつかの条件が重なると切りにくくなります。
豚肉の薄切りは問題なく切れるのに、鶏もも肉になると急につまずく。そんな場合も、手先の器用さだけが原因ではありません。
困るのは、切れないまま包丁を何度も細かく動かし、最後には強く押し込んでしまうことです。肉がずれると、押さえる指も刃へ近づきがちになります。
「もう少し力を入れれば切れるはず」と思ったら、いったん手を止めてみましょう。肉の置き方や刃の当て方を変えたほうが、作業を進めやすい場合があります。
今つながっている皮は、キッチンばさみで切り離してもいい
今まさに皮だけつながって困っているなら、包丁で最初からやり直す必要はありません。生肉を切る用途に合うキッチンばさみがあれば、残った部分を切り離す方法があります。
まず、肉をまな板の上で安定させます。つながった皮の位置が分かるように肉同士を少し離し、皮を持つ指や肉を押さえる指を刃から十分に離してください。
ばさみで身と皮をまとめて無理に挟むのではなく、つながっている部分を確認しながら少しずつ切ります。肉を宙にぶら下げて切ったり、皮を強く引っ張った状態で刃を入れたりするのは避けましょう。
ただし、袋の開封に使っているはさみを、そのまま肉へ使うのはおすすめしません。食品用か、清潔な状態か、製品が想定する用途かを確認します。
皮を切り離すためにばさみを使うのは、手抜きではありません。作業に合う道具へ持ち替えるだけです。
精肉のプロが家庭でも大切だと思うのは、無理なく切れること
精肉の仕事では、肉の形や厚みに合わせて切り方を変えます。同じ包丁を持っていても、すべての肉を同じ動きで加工するわけではありません。
家庭でも、この考え方は役立ちます。包丁で進めやすい作業は包丁で行い、細かな皮の切り離しはばさみに任せる。道具の得意なところを使えばいいのです。
私の本音としては、毎日の料理で「全部を包丁できれいに切れなければ」と頑張りすぎなくてよいと思っています。夕食の準備には、肉を切る以外にも、野菜を洗う、味付けする、子どもの様子を見るなど、いろいろな仕事がありますよね。
切る速さを競うより、手元を落ち着かせて、必要な大きさに分けられること。その後の洗い物まで無理なく終えられることを優先してください。
もちろん、ばさみを使えば何でも簡単になるわけでもありません。厚い肉を一度に切ろうとして手が疲れるなら、包丁へ戻すほうが合う場合もあります。
道具を使い分けられると、「切れない自分が悪い」という気持ちから離れやすくなります。
② 目指すのは、皮まで切れて大きさがそろう鶏もも肉

唐揚げは見た目の大きさだけでなく、肉の厚みもそろえたい
唐揚げ用に切るときは、一口大という言葉だけでは迷います。大人が食べる大きさと、小さな子どもが食べる大きさも違いますよね。
まず考えたいのは、食べる人に合う大きさと、極端に厚みが違わないことです。
鶏もも肉は一枚の中でも厚い場所と薄い場所があります。上から見た縦横をそろえても、一つだけ分厚い肉が混ざることがあります。
厚みが大きく違うと、加熱に必要な時間もそろいにくくなります。薄い肉に合わせて引き上げれば、厚い部分が十分に加熱されていない可能性がありますし、厚い肉を待つうちに小さな肉が硬くなることもあります。
ただし、大きさをそろえれば必ず同時に火が通るわけではありません。油やフライパンの温度、一度に入れる量などでも変わります。
切り分けは、加熱を進めやすくする準備です。最終的には、厚い部分まで十分に加熱できたか確認する必要があります。
照り焼きは一枚のまま、炒め物は食べやすく切り分ける
鶏もも肉を買ったら、必ず一口大に切るというわけではありません。作りたい料理によって、下ごしらえは変わります。
一枚のまま焼く照り焼きなら、細かく切ることより、厚い部分を開いて極端な厚みの差を減らす作業が役立ちます。炒め物なら、具材と一緒に食べやすく、フライパンの中で扱いやすい大きさへ切り分けます。
唐揚げでは少し大きめが好きでも、親子丼では小さめがよいという家庭もあるでしょう。料理名だけでなく、自分や家族が食べやすいかまで考えると、切る目的がはっきりします。
余分に飛び出した皮をどこまで残すかも同じです。皮を楽しむ料理なのか、脂を控えたいのかで判断は変わります。
「鶏肉の正しい切り方は一種類」と覚えるより、料理の完成形から逆算するほうが、家庭では使いやすいと思います。
包丁とばさみを使い分ければ、下ごしらえの迷いを減らせる
包丁とキッチンばさみは、どちらが優れているかを決める必要はありません。何をしたいかで使い分けます。
広い切り口を作る、厚い部分を開く、まとまった量を切り分ける。こうした作業は包丁で進めやすい場面があります。
一方、皮が少しだけつながっている、端から飛び出した皮を整えたい、部分的な脂を除きたい。こうした細かな作業では、ばさみも便利です。
最初から「今日は全部ばさみ」と決めなくても構いません。包丁で切り分け、最後の皮だけばさみで整える組み合わせもできます。
目標は、道具を上手に使った気分になることより、食べやすい肉を無理なく準備することです。作業ごとの役割が分かると、切れない場面でも落ち着いて持ち替えられます。
③ 鶏もも肉の皮だけつながる原因|切れ味・滑り・押し切りを確認

やわらかい身と伸びる皮では、刃の入り方が違う
鶏もも肉の身は切れたのに、皮だけ残る。これは、身と皮が同じようには動かないためです。
やわらかい身へ刃が入っても、皮がしわになっていたり、刃に押されて一緒に動いたりすると、切り残しができます。肉の下へ巻き込まれた皮が、二重になっている場合もあります。
上から見た切れ目だけでは、裏側まで切れたか分かりにくいのも厄介なところです。身が分かれたので切れたと思ったら、まな板に接していた皮が残っていることがあります。
ここで肉を引っ張ってちぎろうとすると、皮が伸び、身の形まで崩れやすくなります。
大切なのは、皮がどこにあるかを確かめることです。肉を置いたら、端の皮が巻き込まれていないか、切りたい場所にしわが寄っていないかを見てください。
皮を広げるのは、強く引き伸ばすことではありません。自然に平らにして、刃が入りやすい状態を作ると考えましょう。
包丁の切れ味が落ちると、皮を切る前に押しつぶしやすい
切れ味が落ちた包丁では、皮へ刃が入る前に肉がつぶれたり、皮が逃げたりすることがあります。
「野菜は切れるから、包丁に問題はない」と思うかもしれません。けれど、食材によって切りにくさの出方は違います。鶏皮のように滑りやすく動きやすい部分で、不便が目立つ場合があります。
確認したいのは、以前より力が必要になっていないか、切ると肉が大きくずれないか、切り口を何度も往復しないと分かれないかです。刃を指でなぞって切れ味を確かめることはしないでください。
手入れの方法は、包丁の材質や構造によって異なります。砥石やシャープナーを使う場合も、包丁と手入れ用品の説明に合う方法を選びます。
特に片刃、特殊な刃、セラミックなどを、一般的な両刃包丁と同じつもりで扱わないようにしましょう。
切れないからすぐに高価な包丁へ買い替える、という順番でなくて大丈夫です。まずは手持ちの包丁の状態と、適切な手入れを確認してみてください。
水分や脂で滑ると、狙った場所に刃が入りにくい
鶏もも肉の表面に水分が多いと、肉を押さえる手や刃が滑りやすくなります。まな板の上に肉汁が広がっていれば、肉全体も動きやすくなります。
切る前に、清潔なキッチンペーパーで余分な水分を押さえると、手元を整えやすくなります。強くこすったり、皮を引っ張ったりする必要はありません。
ただし、水分を拭けば食中毒の原因になる微生物を十分に取り除ける、という意味ではありません。あくまで、下ごしらえを進めやすくする作業です。
持ち手が濡れていないか、手に脂が付いていないかも確認します。手を洗った後は水分を拭き、握りを安定させましょう。
まな板そのものが動く場合は、肉の問題を直す前に作業台との接地を見直します。製品の説明に沿って滑り止めを使うなど、安定した状態にしてください。
肉、手、道具、まな板。この四つが落ち着いていると、必要以上の力を加えずに作業しやすくなります。
真上から押すだけでは、皮が切り残されることがある
包丁を真上から押し込むだけだと、皮が切れる前に身がつぶれる場合があります。切れないときほど、さらに押したくなるのですが、その動きが切りにくさを増やすこともあります。
一般的な包丁で切り分ける場合は、刃を前後へ動かし、刃の長さを使って切り進めることを意識します。細かな往復を何十回も繰り返すより、肉が動かない範囲で落ち着いて動かしてください。
切り終わりも確認します。身へ刃が入ったところで動きを止めず、皮まで切れているかを見ることが必要です。
ただし、まな板へ包丁を強くたたき付ける必要はありません。衝撃で切ろうとすると、刃やまな板を傷める原因になります。
また、「肉の繊維を断つ」と「皮を切り離す」は別の話です。身の食べやすさを考えて切る向きを選んでも、皮が重なっていれば残ることがあります。
切り方の知識を一つ覚えればすべて解決するのではなく、刃の状態、肉の置き方、動かし方を合わせて確認しましょう。
皮を上にする?下にする?向きだけで解決しない理由
鶏もも肉の切り方を調べると、皮を上にする方法と、下にする方法が出てきて迷いますよね。
皮を上にすると、刃を入れたい皮の位置を目で確認できます。一方、皮が滑る状態では押さえ方に注意が必要です。皮を下にすると身へ刃を入れやすい場合がありますが、最後にまな板側の皮が残ることがあります。
つまり、向きを変えるだけで必ず解決するとは限りません。
皮を下にするなら、裏側へ巻き込んだ皮を広げ、切り終わりまで確認する。皮を上にするなら、しわを整え、肉がずれない状態で刃を入れる。このように、向きと作業をセットで考えます。
私は、切れないときに「上か下か」だけを追いかけるより、一切れをゆっくり切って、どこで皮が残っているかを見るほうが原因を見つけやすいと思います。
向きを変えても皮が逃げ続けるなら、切れ味や水分も見直しましょう。無理に同じ方法を続ける必要はありません。
④ 包丁とキッチンばさみの使い分け|鶏もも肉を切る具体的な手順

切る前に、まな板を安定させて肉の水分を拭き取る
最初に、作業する場所を空けます。肉を広げるまな板、切った肉を入れる容器、使用済みのキッチンペーパーを捨てる場所を用意してください。
切り始めてから容器を探すと、生肉を触った手で引き出しや冷蔵庫の取っ手に触れやすくなります。先に準備しておくだけで、途中の動きが減ります。
まな板が安定していることを確かめたら、鶏もも肉を広げます。清潔なキッチンペーパーで余分な水分を押さえ、使った紙はすぐに捨てましょう。
生の鶏肉を、水道水で洗ってから切る方法は勧めません。洗うときの水はねによって、生肉に付いている微生物をシンクや周囲の器具などへ広げるおそれがあります。
包丁やばさみの持ち手も、清潔で握りやすい状態にします。生肉に触れた手でスマートフォンのレシピを何度も操作しなくてよいよう、手順を先に確認しておくと作業が楽になります。
包丁で切るときは、皮を広げて刃を滑らせる
まず、鶏もも肉を無理なく広げ、皮が端で丸まっていないか確認します。肉の下へ入った皮は、切る前に位置を整えておきましょう。
次に、作りたい料理に合わせて、どのあたりで分けるかを考えます。いきなり小さな一口大へ切ろうとするより、扱いやすい幅へ分けてから切り分けるほうが進めやすい場合があります。
肉を押さえる手は、指先を刃の進む位置へ出さないようにします。皮を引っ張りながら指のすぐ近くを切る動きは避けてください。
包丁は真上から押し込むだけでなく、刃を前後へ動かして切り進めます。肉が大きくずれるなら、そのまま力を増やさず、押さえ方や置き方を整え直します。
一切れ切ったら、横へ少し離して皮まで分かれたか確認してください。最初の一切れで切れ方を見ておくと、残りも同じ方法で進めてよいか判断できます。
皮が残った場合は、どの位置でつながっているかを見ます。肉を勢いよく引き離す必要はありません。残った場所だけ、次の方法で処理できます。
皮だけ残ったときは、ばさみで少しずつ切り離す
包丁で身が切れていて、薄い皮だけ残った場合は、キッチンばさみの出番です。
肉はまな板や安定した容器の上へ置きます。切り離した肉が落ちたり、肉汁が周囲へ飛んだりしにくい状態にしてください。
つながっている部分を確認し、指を離して刃を入れます。皮を張りすぎず、ばさみで扱える量ずつ切り進めます。刃先だけで皮を追いかけると逃げやすい場合は、製品の形に合わせて、無理なく切れる位置へ入れ直しましょう。
切れないからといって、持ち手を両手で強く握り込むのは避けます。手が滑ったときに動きを止めにくくなるからです。
また、分解式のばさみは、大きく開いたときに外れる構造のものがあります。分解角度や扱い方を確認し、食材を挟んだまま不用意に大きく開かないようにしてください。
残った皮を切れたら、その都度肉を離して確認します。最後にまとめて引っ張るより、切り残しを見つけやすくなります。
一口大の切り分けや余分な皮の処理には、ばさみも便利
キッチンばさみは、残った皮だけでなく、鶏もも肉の切り分けにも使えます。ただし、一枚を折り重ねたまま一気に切ろうとしないことが大切です。
肉を広げ、厚いところと薄いところを確認しながら、刃で扱える量ずつ切ります。大きな塊が挟まらない、手に強い力が必要になるという場合は、包丁と併用したほうが進めやすくなります。
端から大きく飛び出した皮や、気になる部分の脂を整える作業にも使えます。取る場所を確認して、その部分だけを少しずつ切ってください。
ここで、皮の近くにある黄色っぽい脂を、全部取り除かなければいけないと考える必要はありません。どのくらい残すかは料理や好みによります。
取り除きすぎると、食べられる部分まで減ってしまいます。まずは大きく余った部分や、自分が気になる部分から整える程度で十分です。
なお、骨付き肉や凍った肉を切れるかどうかは、製品ごとの用途を確認します。普通の料理ばさみを、骨切り用の道具と同じつもりで使わないようにしましょう。
厚みを開く作業は包丁、細かな切り離しはばさみが使いやすい
鶏もも肉の下ごしらえで迷ったら、作業の広さで考えると整理しやすくなります。
厚い身へ横方向に刃を入れて開く作業は、切り口や刃の進み方を確認しながら包丁で行うほうが進めやすい場面があります。ばさみで無理に薄くしようとすると、厚みが不均一になったり、細かく切れすぎたりすることがあります。
一方、小さく残った皮を切る、端の部分を整えるといった作業では、ばさみのほうが狙いやすい場合があります。
| 作業 | 道具の選び方 |
|---|---|
| 一枚肉の厚い部分を開く | 包丁を基本にする |
| 唐揚げ用などに切り分ける | 包丁・ばさみから扱いやすい方を選ぶ |
| つながった皮を切り離す | ばさみを活用する |
| 余分な皮や脂を部分的に除く | ばさみも候補にする |
全部を一本で済ませられれば洗い物は減りますが、作業が苦しくなるなら併用して構いません。切りやすさと片付けの手間、両方が自分に合う方法を選んでください。
生肉を切った道具は、加熱後の肉にそのまま使い回さない
鶏もも肉を切ったばさみで、焼き上がった照り焼きをそのまま切る。便利そうですが、生肉に触れた道具を処理せず使い回すことは避けてください。
同じことは、包丁、まな板、トング、お皿にも当てはまります。加熱した肉へ、生肉の汁などを持ち込まないことが大切です。
作業後は、まず製品の説明に従って汚れを洗い落とします。ばさみは刃の重なる部分や支点の周辺に、脂や肉のかけらが残っていないか確認しましょう。
分解できる製品は指定の手順で外し、刃を安全に扱いながら洗います。食洗機、熱湯、漂白剤などが使えるかは、材質とメーカーの指定によって違います。「金属だから何でも大丈夫」と判断しないでください。
洗った後は十分に乾かし、清潔な場所へ収納します。加熱後の肉を切りたいなら、適切に手入れした道具か、別に用意した清潔な道具を使いましょう。
この考え方は、焼肉のトングでも同じです。詳しくは、「焼肉トングは1本で大丈夫?生肉用と焼けた肉用を分ける本当の理由」で、家庭やBBQで続けやすい使い分けを紹介しています。
⑤ 鶏もも肉に使うおすすめキッチンばさみ5選|切りやすさと洗いやすさで選ぼう

買う前に確認したい、肉用キッチンばさみの選び方
キッチンばさみを選ぶときは、「よく切れる」という説明だけで決めないほうが、使い始めてからの不満を減らせます。
鶏もも肉に使うなら、切るときだけでなく、生肉を切った後に手入れしやすいかまで見ておきたいところです。
| 比較する項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| 分解洗浄の可否 | 刃を外せるか、外し方と組み立て方が分かりやすいか |
| 刃の形 | 直線的な刃か、反った形か、普段の作業に合うか |
| 握りやすさ | 指穴の大きさ、持ち手の形、開閉に必要な力 |
| 重量 | 手に持って繰り返し使う負担が大きくないか |
| 食洗機対応 | 家庭用食洗機に対応するか、洗剤などに条件があるか |
| 手入れ方法 | 洗浄・乾燥・研ぎ直しや修理について案内があるか |
分解式は、刃の重なった部分を洗いやすいことが利点です。一方、外した刃を洗うときや組み立てるときには注意が必要です。分解できることだけで選ばず、自分が扱いやすい構造かを見ましょう。
持ち手も大切です。指穴が合わないものや、開閉が負担になるものは、少量なら使えても、鶏もも肉を何枚も切ると疲れる可能性があります。左手で使う方は、対応する手や使用条件も確認してください。
以下の5製品は、メーカー公表情報をもとにした候補です。5本を実際に使い比べたランキングではありません。価格や販売状況、仕様の詳細は、購入時の公式情報と販売ページで確認してください。
① 貝印「SELECT100 キッチンばさみ」|分解して洗えるものを探す人に
貝印の「SELECT100 キッチンばさみ」は、使った後の手入れまで考えて選びたい方の候補です。
公式オンラインストアでは、分解洗浄ができ、家庭用の食器洗浄機・食器乾燥器に対応すると案内されています。生肉を切った後、重なった部分まで洗いたい方には確認したい特徴です。貝印公式商品情報
今回の悩みに当てはめるなら、鶏もも肉の切り分けや、包丁で残った皮を処理する一本として検討できます。普段の料理でも使う予定があるなら、用途と洗浄方法をまとめて確認しておくとよいでしょう。
ただし、分解できるから安全に扱う注意が不要になるわけではありません。外すとき、洗うとき、戻すときには、刃の位置へ気を付けます。
食洗機に入れる場合も、機器と製品それぞれの説明を確認してください。刃物をどこに置くか、どの洗剤を使えるかなど、使用条件に沿って扱う必要があります。
「鶏肉を切った後に洗いにくいのが嫌」という方は、切る機能と同じくらい、分解した状態の写真や手入れの説明を見て選びたい製品です。
② 鳥部製作所「キッチンスパッター KS-203」|オールステンレスを選びたい人に
鳥部製作所の「キッチンスパッター KS-203」は、刃だけでなく持ち手もステンレス製の調理用はさみです。
メーカー公表では、全長203mm、重量114g。刃部は刃物用ステンレス鋼、柄部はステンレス鋼とされています。また、公式サイトには研ぎ直し修理への案内があります。鳥部製作所公式商品情報
道具を長く使いたい方にとって、購入後の手入れや修理を調べられることは、選ぶ際の材料になります。
一方、オールステンレスだから誰にとっても握りやすい、とは限りません。樹脂製の持ち手とは感触が違うため、指穴の形や重さも確認しましょう。
私なら、「金属の見た目が好み」という理由に加えて、自分が切る量や、手入れを続けられるかまで考えて選びます。短時間の細かな処理が中心なのか、毎回まとまった量を切るのかでも、感じる負担は変わるからです。
ステンレス製でも、汚れを付けたまま放置してよいわけではありません。使用後の洗浄と乾燥を含めて付き合える方に検討してほしい一本です。
③ PLUS「フィットカットカーブ 料理はさみ」|料理用の一本を検討したい人に
PLUSの「フィットカットカーブ 料理はさみ」は、料理用として案内されている製品です。
同じフィットカットカーブという名前でも、文具用など別の製品があります。ネットで購入するときは、シリーズ名だけで判断せず、「料理はさみ」であることと、商品番号を確認してください。PLUS公式製品情報
この製品で注目したいのは、料理の下ごしらえから仕上げまでを想定した設計です。家庭用食洗機への対応も公式に案内されています。
鶏肉に使う予定なら、食品を切る用途、分解や洗浄の方法、持ち手の形を見て、自分が想像する使い方と合うか確認します。
また、「カーブ」という言葉が入っていても、すべての製品が同じように食材の下へ差し込みやすい形とは限りません。刃の曲線と、はさみ全体の反りは、写真を見て区別したいところです。
料理用のばさみを初めて買う方は、文具用との取り違えを防ぎながら、日常の調理に使える一本として比較するとよいでしょう。
④ 貝印「関孫六 カーブキッチン鋏 DH3313」|カーブした刃を検討したい人に
貝印の「関孫六 カーブキッチン鋏 DH3313」は、カーブした形のキッチン鋏を探している方の候補です。
公式ブランドサイトでは、型番DH3313、サイズは長さ230×高さ12×幅100mmと案内されています。同じ関孫六シリーズにも複数のキッチン鋏があるため、型番まで照合しましょう。貝印公式ブランド情報
カーブした形が自分の作業に合うかを見るときは、切る食材だけでなく、まな板や容器の上でどのように手を動かすかを想像してください。
鶏もも肉を少しずつ切り分けるのか、端の皮だけを整えるのか。大きめのはさみが扱いやすい人もいれば、小さな動きで操作できるものを好む人もいます。
「大きいから強そう」と、サイズだけで決めるのは避けたいところです。持ち手の幅や指穴が自分の手に合うか、収納場所へ収まるかも確認すると、使い続けやすさにつながります。
カーブ刃でも、厚い肉や骨を何でも切れるわけではありません。製品の用途に沿って、無理のない量ずつ扱いましょう。
⑤ サーモス「キッチンバサミ カーブ刃 KK-HC001」|食材の下へ刃を入れる形を選びたい人に
サーモスの「キッチンバサミ カーブ刃 KK-HC001」も、カーブ刃の形を比較したい方の候補です。
メーカー資料では、カーブ刃は食材の下に刃が入り込みやすく、トレーやお皿に置いた食材・料理を切るのに便利な形状と説明されています。サーモス公式製品資料
食材を安定した場所へ置き、下から刃を入れて切る動きをしたい方は、こうした形の違いに注目すると選びやすくなります。
ただし、「トレーで切れる」という説明を、スーパーの薄い発泡トレーを下敷きにして強く切ってよい、と受け取らないでください。刃が容器へ当たる使い方は避け、製品が想定する使用方法に従います。
また、加熱後の料理にも使いたい場合は、生肉を切った直後にそのまま持ち替えないことが前提です。便利な形状と、衛生的に使い分けることは別に考えましょう。
購入するときは、ストレート刃のモデルなどと混同しないよう、商品名とKK-HC001の型番を確認してください。
使用頻度と手入れの負担で、自分に合う一本を選ぶ
ここまで見て、「結局どれが一番なの?」と思うかもしれません。けれど、鶏もも肉を切る頻度や手の大きさ、洗い方が違えば、合う一本も変わります。
毎週のように唐揚げを作る方なら、繰り返し握ったときの負担と、洗浄のしやすさを優先したいところです。ときどき残った皮を切る程度なら、大きな肉を切る能力より、細かな作業の扱いやすさが大切かもしれません。
食洗機を中心に片付ける家庭では対応条件を確認し、手洗いが中心なら、刃の重なりや持ち手の内側を洗いやすいかを見ます。
私が道具選びで大切だと思うのは、買った後に使う場面が思い浮かぶことです。「便利そうだから」より、「毎週この作業に使う」と言えるほうが、購入する理由がはっきりします。
お金を払えば料理が上達する、とまでは言えません。ただ、毎回つまずく作業に合う道具へ予算を使うことは、調理の負担を減らす選択になります。
手持ちの包丁の手入れで改善するなら、それもよい方法です。不便が続く場合に、予算と手入れ方法が合う一本を選んでみてください。
⑥ 次の鶏肉料理で試そう!切り分けから加熱まで迷わない3ステップ

ステップ1:切り始める前に、料理と切る大きさを決める
次に鶏もも肉を買ったら、パックを開ける前に、何を作るかを決めてみてください。
唐揚げなら、食べる人に合う大きさと厚みを考える。炒め物なら、野菜と一緒に食べやすい形にする。一枚焼きなら、細かく切り分けず、厚い部分を整えるところから始めます。
先に完成形が決まっていれば、途中で「あれも切って、ここも小さくして」と迷う回数が減ります。
道具と容器も、この段階で用意します。包丁で進める予定でも、皮が残ることが多いなら、清潔なキッチンばさみを手の届く場所へ置いておくとよいでしょう。
鶏肉は作業に必要な分を冷蔵庫から出し、下ごしらえ後、すぐに調理しない分は適切に冷蔵します。切りやすくするために長時間室温へ置く必要はありません。
最初の準備は地味ですが、切り始めてからの手間を減らしてくれます。
ステップ2:包丁で切り、残った皮はばさみで整える
例えば、夕食まで時間がなく、唐揚げ用の鶏もも肉を急いで切りたい場面を考えてみましょう。
以前なら、皮がつながったまま何度も包丁を動かし、最後は肉を引っ張っていたかもしれません。そこで今回は、一切れ切ったところで、皮まで分かれたかを確かめます。
切れていれば、その方法で続けます。残っていれば、皮のしわ、肉の滑り、切り終わりの動きを見直します。それでも切り離しにくい部分は、ばさみで処理してください。
最初の一切れを確認する時間は、余計な手間に感じるかもしれません。けれど、全部切った後に大きな一続きの肉をほどくより、途中で気付いたほうが作業を戻しやすくなります。
目標は、今日から急に速く切ることではありません。「どこで切り残したか分かる」「困ったら持ち替えられる」という状態を作ることです。
少しずつ自分に合う方法が分かれば、鶏もも肉の下ごしらえに感じる面倒さも減らしやすくなります。
ステップ3:道具を片付け、厚い部分まで十分に加熱する
切り分けが終わったら、生肉に触れた道具を調理済みの食品から離し、手を洗います。まな板や作業台も、次の作業へ汚れを持ち込まないように手入れしてください。
鶏肉を焼くときは、フライパンに合うトングを使うと扱いやすくなります。コーティングのあるフライパンでは、金属製の道具を使えるかも確認しましょう。
選び方は、「シリコントングとステンレストング、肉を焼くならどっち?フライパン・鉄板・BBQ別に比較」で詳しく紹介しています。鶏もも肉を返す場面も考えながら、普段の調理器具に合うものを選べます。
そして、切り方を工夫した後も、厚い部分まで十分に加熱することが必要です。皮に焼き色が付いたことだけで、中心まで加熱できたとは判断できません。
肉用温度計を使う場合は、厚い部分の中心を適切に測れるものを選び、説明書に沿って使用します。小さな肉では、感温部を必要な深さまで入れられるかにも注意してください。
温度計の種類で迷う方は、「肉用温度計は刺したまま使える?瞬間測定型とオーブン対応型を間違えない選び方」も参考にしてみてください。
よくある疑問|ばさみでも切れない・皮を外したい・冷凍肉を切りたいときは?
ばさみでも皮が切れないときは、どうすればよいのでしょうか。
まず、肉を厚く挟みすぎていないか確認します。身と皮が何重にも重なっているなら広げ、少量ずつ切り直してください。刃や支点に不具合がある場合は使用をやめ、メーカーの案内を確認します。切れ味を戻すために、自己判断で支点のねじを調整したり、特殊な刃を研いだりしないようにしましょう。
切りにくい皮は、全部外したほうがよいのでしょうか。
皮を使わない料理や、食感が苦手な場合は、取り除く選択もあります。ただ、切れないことだけを理由に毎回捨てる必要はありません。皮を楽しみたい料理なら、切り方と道具を見直して残せます。取った皮を調理する場合も、生肉と同じように衛生的に扱い、十分に加熱してください。
冷凍のまま切ると、皮も切りやすくなりますか。
普通の包丁や料理ばさみで、硬く凍った肉を無理に切ることは避けます。刃の破損や滑りにつながるおそれがあります。解凍してから扱い、製品が冷凍食品へ対応する場合でも、指定された条件を守ってください。
まな板を使わず、フライパンの上で切ってもよいのでしょうか。
加熱前に切り分けるなら、安定した場所で作業するほうが手元を確認しやすくなります。熱いフライパンの上では、蒸気や油はね、鍋肌への刃の接触にも注意が必要です。洗い物を減らすことだけで方法を選ばず、安全に扱える場所を優先しましょう。
⑦ まとめ|鶏もも肉の皮が切れないときは、切り方と道具を見直そう

鶏もも肉の身は切れているのに、皮だけつながる。その原因は、料理の腕前だけではありません。
包丁の切れ味が落ちている、皮がしわになっている、水分や脂で肉が滑る、刃を押すだけになっている。こうした条件が重なって、切り残しができることがあります。
次の下ごしらえでは、まず次の三つを試してみてください。
- 肉とまな板を安定させ、包丁の切れ味を確認する。
- 皮を広げて切り、つながった部分にはばさみを使う。
- 不便が続くなら、切りやすさと洗いやすさで一本を選ぶ。
包丁は、厚みを開いたり、まとまった量を切り分けたりする作業で活躍します。キッチンばさみは、残った皮を切る、余分な部分を整えるといった細かな作業にも使えます。
どちらか一方へ決める必要はありません。自分が無理なく進められる組み合わせを見つければ大丈夫です。
精肉の仕事を長くしてきた私も、家庭料理では、道具を使いこなすことだけが目的にならないほうがよいと思っています。切るたびに困るなら方法を変える。今ある道具で改善するなら、そのまま使う。必要なときに、用途に合う道具を買い足す。その順番で構いません。
そして、生肉を切った道具の手入れと、鶏肉を十分に加熱することも忘れずに。
まずは次の鶏もも肉で、一切れだけ落ち着いて切ってみてください。皮まで分かれたかを確かめ、残ったところはばさみで整える。そこから始めれば、いつもの唐揚げや炒め物の準備を、少し進めやすくできます。


コメント