スーパーマーケット精肉|売上がアップする売場を作る5つの考え方

スーパーマーケット精肉|売上がアップする売場を作る5つの考え方 プロが教える裏話・売場トーク
スポンサーリンク

「商品はきれいに並べているのに、思うように売れない」
「特売の日は売れるけれど、通常価格に戻すと動きが鈍くなる」
「夕方の売場を見ると、売りたい商品が残り、必要な商品がなくなっている」

精肉売場を担当していると、こんな悩みを感じることはないでしょうか。

加工、パック詰め、品出し、清掃。毎日の仕事をこなすだけでも忙しいのに、売上まで求められる。「もっと工夫しよう」と言われても、どこから手を付ければよいのか迷いますよね。

私は食品スーパーの精肉部門で約25年働き、これまで5社を経験してきました。肉の知識や加工技術、商品づくりのノウハウを積み上げてきた立場から、売場づくりで大切にしたいのは、お客さんが買う理由を見つけられることです。

価格、量、使い道、買う時間。このどれかがかみ合わないと、良い商品でも選ばれにくくなります。

この記事では、精肉売場の売上アップを考えるための5つの視点を紹介します。大きな改装や派手な販促ができなくても、今の売場で試せることはあります。自分の店の悩みに近いところから、一緒に見直していきましょう。

  1. 精肉売場の売上が伸びないとき、最初に確認したいこと
    1. 売上だけでは見えない「売れない理由」を分けて考える
    2. 売上・粗利益・値引き・廃棄を一緒に見る
    3. 約25年、5社の経験を売場づくりにどう生かすか
  2. 考え方①「売りたい肉」から「お客さんが使いやすい肉」へ
    1. 部位名だけでは、今日の献立は決まらない
    2. 人数・予算・調理の手間から商品を組み立てる
    3. 買ったあとに困りやすいポイントまで伝える
  3. 考え方② お客さんが迷わず選べる売場にする
    1. 定番・特売・少し良い肉の役割をはっきりさせる
    2. 価格だけでなく「この肉を選ぶ理由」を見せる
    3. 売場をお客さんの目線で歩いて確認する
  4. 考え方③ 陳列の量と鮮度感を、売れる時間に合わせる
    1. 朝から閉店まで、同じ陳列量でよいとは限らない
    2. 山積みに頼らず、選びたくなる状態を保つ
    3. 欠品と作りすぎを、商品ごとに振り返る
  5. 考え方④ 肉を売るだけでなく「美味しく食べられるイメージ」を届ける
    1. 短い調理のひと言が、購入の迷いを減らす
    2. BBQの提案は、肉・人数・道具をつなげる
    3. 家庭での失敗を減らす道具を、必要な場面で紹介する
  6. 考え方⑤ 売場の工夫を「やりっぱなし」にしない
    1. 一度に全部変えず、改善する場所を絞る
    2. 曜日・天気・特売条件をそろえて比べる
    3. 売れた理由をスタッフ同士で共有する
    4. 明日から試せる「1週間の売場改善」
  7. まとめ|売上がアップする精肉売場は、お客さんの買いやすさから考える

精肉売場の売上が伸びないとき、最初に確認したいこと

売場の数字を確認する精肉担当者

売上が伸びないと、価格を下げる、商品を増やす、POPを付けるといった対策が浮かびます。

ただ、原因が分からないまま手を打つと、作業だけ増えてしまいます。まずは「どこで買い物が止まっているのか」を分けて考えるところから始めましょう。

売上だけでは見えない「売れない理由」を分けて考える

精肉の売上は、考え方として「来店客数×精肉の購入率×精肉購入者の平均購入金額」に分けられます。さらに平均購入金額は、買った点数と一商品当たりの金額に分けて見ることができます。

ここでいう購入率は、来店したお客さんのうち、精肉を購入した人の割合です。店舗の帳票で別の定義を使っている場合は、その定義にそろえて確認してください。

店全体の客数が減っている場合と、お客さんは来ているのに肉が買われていない場合では、改善する場所が違います。

売場でパックを見て、何も買わずに離れる人が目立つなら、価格や量、商品の違いが分かりにくいのかもしれません。いつも一商品だけ買われるなら、もう一品の献立につながる提案に余地がありそうです。

POSで売場への立ち寄りまで分からなくても、購入人数や点数は確認できる場合があります。数字で分かることと、売場で観察することを組み合わせましょう。

「売れないからもっと頑張る」だけでは、担当者は疲れてしまいます。原因を小さく分けることは、限られた時間を使う場所を決めるために必要です。

売上・粗利益・値引き・廃棄を一緒に見る

売上が増えた日に、必ず利益も増えているとは限りません。

たとえば、価格を大きく下げて数量が伸びても、通常品から特売品へ購入が移っただけなら、部門全体の粗利益は減る可能性があります。大量に作って夕方に値引きすれば、売れたパック数だけでは結果を判断できません。

確認したいのは、売上、販売数量、粗利益、値引き、廃棄です。帳票によって値引きや廃棄の扱いが異なるので、同じ意味で比較できる数字を使います。

もう一つ、作業時間も見てください。少量パックを増やして売れても、包装や補充の負担が大きく、必要な商品を作る時間がなくなれば、別の問題が生まれます。

私は、売場の改善は「売れたか」と「無理なく続けられるか」を一緒に考えたいと思っています。忙しい日にしか成立しない特別な売場より、普段の人員で維持できる売場のほうが、日々の販売につなげやすいからです。

売上の数字を喜ぶことは大切です。そのうえで、何を使ってその売上を作ったのかまで確かめましょう。

約25年、5社の経験を売場づくりにどう生かすか

私は5社で精肉の仕事を経験し、肉を知ること、用途に合わせて加工すること、商品として売場に出すことに携わってきました。

その経験を売場づくりに生かすなら、「肉の特徴」と「お客さんの暮らし」をつなぐことを大切にしたいです。加工する側には分かる違いでも、買う側には伝わっていないことがあります。

厚さを変えた理由、脂を整えた理由、量目を分けた理由。商品づくりに込めた工夫が、ラベルや陳列から読み取れるかを見直すのです。

また、5社の経験があるからといって、すべての店に当てはまる陳列を一つに決められるわけではありません。客層、設備、品ぞろえ、人員、価格帯が違えば、実行しやすい方法も変わります。

私の本音としては、長く働いてきた人ほど「前はこれで売れた」という経験を、今の売場で確かめ直す必要があると思っています。

経験は判断の手がかりになります。ただ、目の前のお客さんの反応まで代わりに教えてくれるものではありません。経験から仮説を立て、売場と数字で確認する。この往復が大切です。

考え方①「売りたい肉」から「お客さんが使いやすい肉」へ

使いやすい肉のパックを選ぶ買い物客

仕入れた肉をどう売り切るかは、精肉担当者にとって大きな課題です。

その一方で、お客さんが考えているのは「今日、何を作ろう」「この量を使い切れるかな」ということ。売る側と買う側の考えを近づけると、商品づくりの方向が見えてきます。

部位名だけでは、今日の献立は決まらない

精肉担当者なら、部位名から肉の特徴や使い道を想像できます。けれど、お客さんが同じ知識を持っているとは限りません。

「牛肩切り落とし」と書かれていても、牛丼に使えるのか、炒め物で硬くならないか、煮込む必要があるのか。そこまで分からず、いつもの商品へ戻る人もいるでしょう。

そこで、商品に合う料理を短く添えます。「牛丼・肉じゃがに」「野菜炒めに」「時間をかける煮込み料理に」など、家で使う場面が浮かぶ案内です。

大切なのは、実際の肉の厚さや筋、加工状態に合うことです。どの部位にも「柔らかい」、どの角切りにも「すぐ調理できる」と書いてしまうと、購入後の期待とずれます。

部位の違いを説明する際は、当ブログの「牛肩と牛モモ、柔らかいのはどっち?『値段』では決まらない料理別の使い分け」も関連する内容です。部位の名前だけで優劣を付けず、料理から選ぶ案内につなげられます。

売場で全部を説明しようとしなくて大丈夫です。まず「これなら今夜使える」と思える手がかりを一つ届けましょう。

人数・予算・調理の手間から商品を組み立てる

100g当たりの価格が安くても、パックの総額が高ければ買いにくいことがあります。

二人分の夕食を作る人に、大容量パックしかなければ「余った分を冷凍するのが面倒」と感じるかもしれません。反対に、家族の多い人には、小さなパックを何個も選ぶ手間がかかります。

量目を考えるときは、単価だけでなく、総額と使い切りやすさを見ます。仮に同じ単価の商品でも、200gと500gでは、買うときの予算も帰宅後の扱いも違います。

調理の手間にも目を向けてください。平日の夕方なら、すぐ炒められる肉が便利な人もいます。休日には、時間をかけて煮込む肉を選ぶ人もいるでしょう。

ただし、少量、大容量、味付け、厚切りと、全部を増やせばよいわけではありません。まずはよく売れる商品の量目別の動きを見て、必要な選択肢を考えます。

私は、パック数を増やす前に「この商品は誰が、いつ、何に使うのか」を一度言葉にしてみる方法をすすめたいです。答えが曖昧なら、商品を増やしても役割が重なりやすくなります。

買ったあとに困りやすいポイントまで伝える

購入時の見た目が良くても、家でうまく料理できなければ、次の購入につながりにくくなります。

「赤身を買ったら硬かった」「焼肉用の肉が焦げた」「切り落としを全部まとめて焼いたら水っぽくなった」。こうした困りごとには、肉の特徴と調理方法の両方が関係します。

売場では、失敗を減らす短い案内が役立ちます。たとえば「薄切り肉は重なりをほぐして」「炒め物は一度に入れすぎずに」「煮込み用は時間をかける料理に」といった言葉です。

注意事項を並べるだけでは、買いにくくなってしまいます。「難しそう」と感じさせるより、扱い方が分かれば使えることを伝えましょう。

精肉の知識があると、どうしても細かい説明をしたくなります。けれど、買い物中のお客さんに必要なのは、その日の料理を助ける情報です。

私なら、その商品で起こりやすい困りごとを一つ選び、それに答える案内から始めます。肉の売り方を考えるときは、売れた瞬間だけでなく、食卓に出たときの満足まで想像したいところです。

考え方② お客さんが迷わず選べる売場にする

商品を選びやすく整理された精肉売場

品ぞろえが豊富でも、商品の違いが分からなければ、選びやすい売場にはなりません。

選択肢を減らすか増やすかの前に、「違いが伝わっているか」を確認します。お客さんが一枚ずつラベルを読み比べなくても、必要な場所へ近づける売場を目指しましょう。

定番・特売・少し良い肉の役割をはっきりさせる

定番商品は、普段の献立を支える商品です。特売商品は、価格の魅力から買い物のきっかけを作ります。少し良い肉は、休日や家族の集まりなど、いつもより楽しみたい食事の候補になります。

この役割が売場で見えると、お客さんは自分の目的に合う商品を探しやすくなります。

たとえば、似た薄切り肉が混ざって並び、価格の違いしか見えないと、「高いほうは何が違うのだろう」と迷います。産地、部位、脂の特徴、厚さなど、価格以外の違いを正しく示しましょう。

少し良い肉にも、買う理由が必要です。「高級」「おすすめ」だけでは、予算を増やす判断材料が足りません。家族ですき焼きを楽しむ、脂の甘みを味わうなど、食事の場面とつなげます。

ただし、高い商品を良く見せるために、定番を劣った肉のように扱う必要はありません。毎日の料理で使いやすいことも、十分な価値です。

それぞれの商品に役割があれば、単に安いものへ購入が集中する売場から、目的に合わせて選べる売場へ近づけます。

価格だけでなく「この肉を選ぶ理由」を見せる

価格は、買い物で欠かせない情報です。ただ、数字だけでは、同じ価格帯の商品を選び分けられません。

脂を控えめにしたい人、濃い味の炒め物に使いたい人、包丁を使う手間を減らしたい人。それぞれ、見るポイントは違います。

POPには、商品の特徴を一つと、その特徴が役立つ使い道を組み合わせると伝わりやすくなります。「赤身中心で、脂を控えめにしたい料理に」「薄切りで、牛丼や炒め物に」といった形です。

表現は実際の商品に合わせて調整してください。パックによって脂の付き方が違う商品なら、その違いを無視した断定は避けます。

また、一つのPOPに産地、部位、歴史、調理法、栄養、保存法まで入れると、読む負担が増えます。最初に目に入る言葉で、何を伝えたいのか分かるようにしましょう。

私の本音では、情報を増やす作業より、不要な説明を削る判断のほうが難しいと思います。それでも「買うために必要な一言はどれか」を選ぶことが、読みやすい案内につながります。

商品と価格表示、POPの対応が合っているかも忘れずに確認します。

売場をお客さんの目線で歩いて確認する

担当者は、どこに何があるかを知っています。そのため、売場の分かりにくさに気付きにくくなることがあります。

一度、普段とは逆方向から歩いてみてください。売場に入ったとき、牛肉、豚肉、鶏肉の場所が分かるか。特売の案内が商品を隠していないか。量の違うパックが、探しやすく並んでいるかを見ます。

立った位置だけでなく、少し離れた場所からも確認しましょう。近くでは読める文字でも、通路からでは小さすぎることがあります。照明の反射で、ラベルやPOPが見えにくい場合もあります。

お客さんの動きも手がかりになります。同じ場所を行き来する、商品を探して周囲を見回す、パックを何枚も持ち替える。こうした動きがあれば、案内や分類を見直す候補です。

ただし、一人の動きだけで理由を決めつけないことも大切です。予算で迷っている場合も、家族の好みを考えている場合もあります。

観察から仮説を立て、質問される内容や商品の動きと合わせて確かめましょう。お客さんの目線で歩くことは、担当者の知識をいったん脇に置く練習にもなります。

考え方③ 陳列の量と鮮度感を、売れる時間に合わせる

売れる時間に合わせて肉を補充する担当者

開店時に整えた売場が、夕方のお客さんにも買いやすいとは限りません。

売場は、商品が売れるたびに変わります。どれだけ並べるかと同じくらい、いつ補充し、どんな状態を保つかが大切です。

朝から閉店まで、同じ陳列量でよいとは限らない

来店のピークや、精肉がよく売れる時間は店によって違います。午前中にまとめ買いする人が多い店もあれば、仕事帰りの夕方に夕食用が動く店もあるでしょう。

まず、時間帯別の販売を見ます。部門全体だけでなく、切り落とし、ひき肉、焼肉用、味付け肉など、商品の種類ごとの動きを確かめます。

夕方に必要な商品がなくなるなら、朝の製造量を増やす方法だけでなく、補充の時刻や製造の順番も見直せます。逆に、午前中に動く商品を午後に多く出しても、需要の山を過ぎている可能性があります。

ここで、販売時刻と調理する時刻を混同しないようにします。夕食に食べる肉でも、午前中に買うお客さんはいます。

製造計画は、販売実績、在庫、作業量、商品の期限、店舗の衛生管理ルールを合わせて考えます。追加製造できる余力がないのに、小刻みな補充を理想にしても続きません。

私は、時刻を決める前に「この商品を買う人が来るとき、選べる状態になっているか」を問い直したいです。忙しさの順番と、需要の順番を近づけていきましょう。

山積みに頼らず、選びたくなる状態を保つ

量感のある売場は、商品がそろっている印象につながります。ただ、パックを積み上げればよいわけではありません。

商品が重なりすぎると、下のラベルが読めず、選ぶために何枚も動かす必要が出ます。パックが傾いたり、違う商品が入り込んだりすれば、価格も分かりにくくなります。

陳列する量は、冷蔵ケースの指定容量や積載限度、冷気の流れ、店舗の管理基準を守ることが前提です。見栄えを理由に、それらを超えて並べることはできません。

鮮度感を考える際も、色だけで判断しないようにします。包装の状態、ドリップ、表示、期限、温度などを、店舗の手順に沿って確認してください。見た目を整えることと、商品の安全・品質管理は一緒に進める必要があります。

商品が少なくなったときは、許可された範囲で陳列を整え、空いた場所に別の商品を無理に入れないことも大切です。

私は、たくさん並んでいる売場より、今ある商品を落ち着いて選べる売場を目指したいと思います。量感は、その買いやすさを支える範囲で作りましょう。

欠品と作りすぎを、商品ごとに振り返る

閉店前に売場が空になっていても、それだけで良い販売だったとは判断できません。早い時刻から欠品していれば、その後に買いたかった人を逃しているかもしれません。

逆に、閉店時に商品が残っていることも、すべて同じ問題ではありません。必要な品ぞろえを保つための在庫なのか、需要に対して作りすぎたのかを分けて考えます。

記録したいのは、商品名、製造・補充の量、欠品した時刻、値引きを始めた時刻、残った数量です。最初から全商品を細かく追うのが難しければ、売れ筋と残りやすい商品を一つずつ選びましょう。

たとえば「豚切り落としが夕方にない」という課題なら、量目ごとに確認します。大容量は残っているのに少量だけ欠品していれば、部門全体の製造量を増やすより、量目の配分を変えるほうが課題に近いでしょう。

値引きも、価格を下げる時刻だけで解決しようとせず、その前の製造量と販売の動きを見ます。

本音を言えば、残った肉を見ると、早く売り切ることに意識が向きます。それと同時に、翌日どう作るかまで考えることで、同じ悩みを繰り返しにくくなります。

考え方④ 肉を売るだけでなく「美味しく食べられるイメージ」を届ける

肉料理と調理道具を囲む家族の食卓

肉の使い道が思い浮かべば、買う判断はしやすくなります。さらに、家庭で失敗しにくい扱い方まで分かると、初めての商品にも手を伸ばしやすくなるでしょう。

ここでは、売場の料理提案と、家庭で使う肉グッズをつなげて考えます。

短い調理のひと言が、購入の迷いを減らす

「この肉はどう焼けばいいですか」と聞かれたとき、部位の特徴だけ説明しても、調理の不安が残る場合があります。

家庭のフライパンやコンロはさまざまです。肉の厚さも違うため、「片面を何分焼けば大丈夫」と一つの時間で言い切る案内には注意が必要です。

まずは、商品に合う扱い方を短く伝えます。薄切りなら重なりをほぐす、炒め物なら一度に詰め込まない、味付け肉なら焦げに注意して商品の調理表示に従う、といった案内です。

厚い肉では、表面の焼き色と中心の加熱は別に考えます。安全な加熱については、肉の種類や加工状態、商品表示に沿った案内を優先してください。

売場で長い説明を読む余裕がない人には、最初の一手が分かる言葉が役立ちます。「焼く前に、清潔なペーパーで表面の余分な水分を取る」といった具体的な動作なら、帰宅後にも思い出しやすくなります。

私は、肉の知識を全部伝えるより、お客さんが家で迷う場面に一つ答えるほうが、売場の案内として使いやすいと思っています。

BBQの提案は、肉・人数・道具をつなげる

BBQ用の肉を選ぶお客さんは、部位だけでなく、人数、予算、焼く道具、準備の手間も考えています。

「カルビがおすすめです」と伝える前に、脂の好み、参加する人、使うグリルが分かると、案内を具体的にできます。子どもがいるなら食べやすい形、少人数なら選びやすい量も考えたいところです。

網と鉄板の違いを知ると、肉の提案にも幅が出ます。網は脂や水分が下へ落ち、鉄板は調理面に接触させて焼けます。ただし、部位名だけで使う場所を固定せず、脂、厚さ、大きさを見ます。

詳しい使い分けと鉄板の候補は、「BBQの肉は網と鉄板どっちがうまい?カルビ・赤身・鶏肉で変わる正しい使い分け」で紹介しています。家族向けの広い鉄板や、少人数向けのプレートなど、使用するグリルへの適合も含めて比較できます。

また、焼く準備には道具の使い分けも欠かせません。生肉を扱う道具と、十分に焼けた肉を取り分ける清潔な道具は、役割を分けて用意します。

「焼肉トングは1本で大丈夫?生肉用と焼けた肉用を分ける本当の理由」では、使い分け方とともに、オークス「おきラク焼き肉トング」やキャプテンスタッグ「BBQ ウッドグリップトング35cm」などの候補を紹介しています。

肉をすすめる際に「取り分け用の道具も準備できていますか」と一言添える。こうした案内は、BBQを安心して楽しむ準備につながります。

家庭での失敗を減らす道具を、必要な場面で紹介する

肉グッズは、困っている場面がはっきりしてから紹介すると、用途が伝わります。

厚い肉の加熱状態が分かりにくい人には、肉用温度計が候補です。測るときだけ使う瞬間測定型と、対応するプローブで加熱中の温度を追うタイプでは、使い方が違います。

「肉用温度計は刺したまま使える?瞬間測定型とオーブン対応型を間違えない選び方|おすすめ肉用温度計5選」では、タニタTT-583、Thermapen ONE、有線のDOTなどを用途別に紹介しています。商品名や測定範囲だけで選ばず、説明書の使用条件を確認することが大切です。

炒め物が水っぽくなる悩みには、まず肉の水分、焼く量、調理の順番を案内します。そのうえで、今のフライパンが料理に合うかを考えます。

「フライパンで肉を焼くと水浸しになるのはなぜ?『焼く』が『煮る』に変わる原因と道具の選び方|おすすめフライパン5選」では、リバーライト「極JAPAN」やビタクラフト「スーパー鉄」などを、手入れや扱い方と合わせて紹介しています。

私の本音としては、高い道具を買う前に、今ある道具の使い方を見直してほしいと思っています。肉を詰め込みすぎているなら、分けて焼くことで改善する場合があります。

ここで紹介したものは家庭での調理用候補です。店舗の試食や業務で導入する場合は、社内基準、衛生管理、設備との適合を別に確認してください。商品が売場に直接の売上増をもたらすと決めつけず、料理提案を助ける道具として考えましょう。

考え方⑤ 売場の工夫を「やりっぱなし」にしない

販売結果を確認する精肉スタッフ

売場を変えた直後は、気持ちも前向きになります。ただ、「良くなった気がする」で終わると、何が役立ったのか残りません。

小さく試して、結果を確認し、次に生かす。その繰り返しを日常の仕事に組み込みましょう。

一度に全部変えず、改善する場所を絞る

量目、価格、陳列位置、POPを一度に変えると、売れた理由も売れなかった理由も分かりにくくなります。

まずは、一つの商品と一つの課題を選びます。「少量の豚切り落としが夕方に欠品する」「牛肉の用途をよく質問される」といった、現場で確認できる課題が向いています。

次に、変える内容を決めます。補充時刻を調整する、用途のPOPを一枚付けるなど、実行したことが分かる形にしてください。

始める前に、期待する変化も書いておきます。「販売数量が増える」「欠品する時刻が遅くなる」「値引き数量を増やさず販売できる」といった目安です。

通常の衛生管理や必要な補充まで止めて条件を固定する必要はありません。実際に起きた変更や欠品を記録すれば、結果を読む手がかりになります。

忙しい売場で大切なのは、検証のための仕事を大きくしすぎないことです。一つの棚、一つの商品からなら、担当者も周囲も取り組みやすくなります。

曜日・天気・特売条件をそろえて比べる

月曜日に売場を変え、日曜日より売れなかったから失敗。こう判断すると、曜日による違いを見落としてしまいます。

比較するときは、同じ曜日、似た特売条件、営業時間などを確認します。天気、連休、給料日の前後、近隣の行事といった事情も、記録できる範囲で残しましょう。

来店客数が増えた日は、商品の販売数量も増えやすくなります。客数100人当たりの販売点数など、客数の違いを考慮した数字も参考になります。

たとえば、仮に来店客数1,000人で50パック売れた日と、1,200人で60パック売れた日なら、どちらも客数100人当たり5パックです。数量は増えていますが、それだけで売場変更の効果とは判断できません。

一方、販売数量が同じでも、値引きが減った、欠品時間が短くなった、補充がしやすくなったなら、確認する価値のある変化です。

一日で結論を急がず、条件の近い日を複数見ます。数字が良かった理由を慎重に考えることは、次の店や季節でも使える工夫を見つけるために役立ちます。

売れた理由をスタッフ同士で共有する

売場の情報は、責任者だけが持っているとは限りません。

品出しをする人は、どの量目が早く減るかを見ています。接客する人は、お客さんが迷う言葉を知っています。加工する人は、製造に時間がかかる商品や、形をそろえにくい肉を把握しています。

これらをつなげると、数字だけでは分からない事情が見えてきます。

共有する際は、「今日はよく売れた」から一歩進めて、「少量パックが先に減った」「用途を聞かれる回数が目立った」など、具体的に伝えます。ただし、数えていないことは印象として扱い、確定した事実と分けましょう。

売場の変更は、理由も一緒に共有してください。用途別に整えても、補充する人に目的が伝わっていなければ、空いた場所へ別の商品が入ってしまいます。

私は、担当者一人の感覚に頼る売場より、誰が補充しても狙いが伝わる売場を目指したいと思います。短いメモや引き継ぎで十分です。

うまくいかなかった結果も共有します。「売れなかったから終わり」ではなく、量、時刻、説明のどこに見直す余地があるかを、次の仕事へつなげましょう。

明日から試せる「1週間の売場改善」

最初の1週間は、大きな成果を断定する期間ではなく、課題を選び、試し、記録する流れを作る期間と考えます。

1日目は、課題を一つ選びます。
売場を歩き、帳票を確認して、「何が起きているか」を具体的にします。「売上が低い」より「夕方に少量パックがなくなる」のほうが取り組みやすくなります。

2日目は、変更前の状態を残します。
数量、補充時刻、欠品、値引きなど、課題に関係する項目を記録します。写真を使う場合は店舗のルールに従い、お客さんや個人情報を写さないようにします。

3日目は、一つの変更を試します。
用途の案内を付ける、補充時刻を調整するなど、何を変えたか明確にします。必要な社内確認を済ませ、担当する人にも伝えましょう。

4〜6日目は、同じ項目を確認します。
販売だけでなく、欠品や値引き、補充のしやすさも見ます。途中で変えた条件があれば、その内容を残してください。

7日目は、続けるか、修正するかを決めます。
まだ比較できる日が少なければ、同じ曜日を確認できるよう次の週まで継続します。数字が良くても、維持できない負担があるなら方法を調整しましょう。

具体的なPOPや献立提案を広げたい場合は、「スーパーマーケット精肉にお客さんが来る工夫|スーパーマーケットで試すべき売上アップの7つのテクニック」も参考になります。

一つの改善を記録して残すと、次の担当者にも引き継げます。小さくても、店の仕事として積み上がる形にしましょう。

まとめ|売上がアップする精肉売場は、お客さんの買いやすさから考える

精肉売場でお客さんを案内する担当者

精肉売場の売上アップを考えるときは、まず「なぜ買われていないのか」を分けて見ることが大切です。

価格を下げる、量を増やす、POPを付ける。どれも使える方法ですが、課題に合っていなければ、手間や売れ残りが増える可能性があります。

今回紹介した考え方は、次の5つです。

  1. お客さんが使いやすい商品を考える
  2. 迷わず選べる情報と配置にする
  3. 売れる時間に合わせて陳列・補充する
  4. 美味しく食べる場面まで提案する
  5. 結果を確認し、改善を続ける

私は約25年、5社で精肉の仕事を経験してきました。その経験を伝えるうえで大切にしたいのは、肉の知識を、お客さんの買いやすさと食卓での満足につなげることです。

良い肉を加工する技術も、選ぶ理由が伝わってこそ生きてきます。家庭での調理に不安があれば、短い案内や、用途に合うトング、温度計、フライパンの情報も助けになります。

ただ、売場を一度に作り替える必要はありません。明日は、自分の売場でお客さんが迷いそうな場所を一つ見つけてみてください。

量が合わないのか、用途が分からないのか、欲しい時間に商品がないのか。その一つに答える工夫を試し、売上と利益、作業の負担を確かめる。そうした改善を続けることが、また買いたいと思える精肉売場を育てていきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました