豚の角煮、脂はトロトロなのに赤身がパサパサ!肉選びと煮込み方の見直しポイント

豚の角煮の肉選びと煮込み方を解説するアイキャッチ 豚肉の部位と調理法
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「脂身は箸で切れるほどやわらかいのに、赤身を食べるとパサパサする」

「もっと煮ればよくなると思ったら、ますます食べにくくなってしまった」

角煮を作って、こんな経験はありませんか。時間をかけた料理ですから、ひと口食べて「あれ?」となると、がっかりしますよね。

先にお伝えすると、脂がトロトロになることと、赤身がしっとり食べやすくなることは、同じではありません。 肉の断面や切る大きさ、火加減、煮込み時間、仕上げの煮詰め方を分けて見直すことが大切です。

私は食品スーパーの精肉部門で約25年働き、これまで5社で肉の加工、商品づくり、仕入れ、販売に関わってきました。同じ豚バラでも、赤身と脂の付き方や形は一つずつ違います。その違いは、家庭での扱いやすさにもつながります。

この記事では、角煮向きの肉を選ぶところから、普通の鍋・圧力鍋での見直し方、役立つ道具、できあがった角煮を食べやすくする方法まで紹介します。

  1. 角煮の脂はトロトロなのに赤身がパサパサ…時間をかけたのに残念ですよね
    1. 見た目はおいしそうなのに、赤身だけ口の中でほぐれて乾く
    2. 「もっと煮込めばやわらかくなる」と考える前に確認したいこと
    3. 精肉歴約25年の私が、調味料より先に肉の断面を見てほしい理由
  2. 目指したいのは、脂の口どけと赤身の食べやすさを両方楽しめる角煮
    1. 箸で崩れることだけでなく、かんだときのしっとり感も大切にしよう
    2. 家族の好みと作る量に合わせて、無理なく繰り返せる方法を選ぶ
  3. なぜ脂はトロトロなのに赤身がパサつく?肉の性質と煮込み方を整理しよう
    1. 脂がやわらかくなることと、赤身の水分が保たれることは別の変化
    2. 煮込み時間だけでなく、火加減・肉の大きさ・煮汁の減り方が関係する
    3. 圧力鍋を使ってもパサつくのはなぜ?追加加圧を繰り返す前に見直そう
  4. 角煮の赤身をパサつかせにくくするには?豚バラの選び方と煮込み方の見直しポイント
    1. 豚バラブロックは、赤身と脂の層・赤身の厚さ・形のそろい方を見る
    2. 脂を減らしたくてロースやももへ替えると、同じ作り方では仕上がりが変わる
    3. 肉の大きさをそろえ、冷凍ブロックは切れる状態まで解凍する
    4. 下ゆでと味付けの工程を整理し、一つのレシピの条件に合わせる
    5. 普通の鍋は穏やかな煮立ちと煮汁を確認し、仕上げの煮詰めを長引かせない
    6. 圧力鍋は機種ごとの分量・加圧時間・圧力の抜き方を守る
  5. 角煮づくりに役立つ道具は?鍋・電気圧力鍋・落としぶたを困りごとで選ぼう
    1. 火加減を見ながら煮たい人に|肉の量に合う厚手の鍋
    2. 加熱管理の手間を減らしたい人に|煮込みと仕上げを調整できる電気圧力鍋
    3. 普通の鍋で煮汁の回り方を整えたい人に|サイズの合う落としぶた
  6. 次の角煮で試そう!買い物・煮込み・食べ切りまでの実践ポイント
    1. 買う前に作る量と鍋を決め、豚バラの断面を確認する
    2. 一度に変えるポイントを絞り、肉の大きさと加熱条件をメモする
    3. できあがった角煮がパサついたら、煮汁を添える・ほぐす・料理を替える
    4. 保存と温め直しでも加熱しすぎを避け、必要な分ずつ食べる
  7. まとめ|角煮の赤身がパサつくときは、肉の断面と煮込み条件から見直そう

角煮の脂はトロトロなのに赤身がパサパサ…時間をかけたのに残念ですよね

脂身と赤身の食感の違いが分かる豚の角煮の断面

見た目はおいしそうなのに、赤身だけ口の中でほぐれて乾く

煮汁には照りがあり、脂身もやわらかい。見た目は、お店で出てきそうな角煮になっている。それなのに赤身をかむと、繊維が口の中に残るように感じる。

角煮の難しさは、こうした見た目と食べた印象の差にもあります。脂身の部分がおいしいと、「ここまでやわらかいのだから、赤身も大丈夫だろう」と思いやすいですよね。

でも、一切れの豚バラには、脂の層と赤身の層があります。脂を食べたときのなめらかさだけでは、赤身の状態まで分かりません。

まずは、脂と赤身を一緒に食べたときだけでなく、赤身の部分を少し取り分けたときの食感も見てみましょう。かみ切りにくいのか、ほぐれるけれど乾くのか。そこが分かると、次に何を見直すかを考えやすくなります。

せっかく時間をかけた角煮です。「料理が下手だった」と片付けず、起きていることを一つずつ整理していきましょう。

「もっと煮込めばやわらかくなる」と考える前に確認したいこと

煮込み料理では、「まだ硬いなら、もう少し煮る」という判断をします。ただ、角煮で感じる食べにくさが、すべて同じ原因とは限りません。

肉がまとまったままで、ほぐすにも抵抗がある状態と、繊維はほぐれるのに口の中でパサつく状態では、見直したいところが違います。

すでにほぐれる赤身を、しっとりさせたいという理由だけで長く煮続けるのは、いったん立ち止まりたい判断です。 追加の加熱で、失われた水分がそのまま元へ戻るわけではありません。

肉の大きさ、これまでの加熱時間、煮汁の残り方を確認し、十分に加熱できた一切れで食感を確かめます。脂身だけをつまんで、肉全体の状態を判断しないことも大切です。

なお、箸や竹串が通ることは、食感を見る参考にはなりますが、安全に食べられる加熱状態を保証するものではありません。豚肉は中心まで十分に加熱することを前提に考えましょう。

精肉歴約25年の私が、調味料より先に肉の断面を見てほしい理由

精肉の仕事では、同じ名前の部位でも、目の前の肉を見て切り方や商品への仕上げ方を考えます。豚バラも、赤身の層が大きい部分、脂の層が厚い部分、端が薄い部分などがあります。

食品スーパー5社で経験を重ねてきた私が、家庭の買い物でも役立つと思うのは、この「現物を見る」習慣です。

パックに「角煮用」と書いてあれば用途の参考になります。ただ、それだけで赤身と脂の割合や、一切れの厚さまで全部そろうわけではありません。

私の本音として、角煮がうまくいかなかったとき、調味料を次々と買い足す前に、買った肉の形を思い出してほしいと思います。大きな赤身の塊があったのか、端だけ薄かったのか。その確認は、次の買い物ですぐに生かせます。

値段や銘柄に加えて、切った一切れがどんな形になるかを見る。まずは、そこから始めてみてください。

目指したいのは、脂の口どけと赤身の食べやすさを両方楽しめる角煮

脂の口どけと赤身の食べやすさを楽しむ豚の角煮

箸で崩れることだけでなく、かんだときのしっとり感も大切にしよう

角煮の紹介でよく見かけるのが、「箸でほろっと崩れる」という表現です。確かに魅力的ですが、それだけを完成の目標にすると、加熱を長くしすぎることがあります。

肉が崩れやすいこと、かみ切りやすいこと、しっとり感じることは、少しずつ違います。

たとえば、細かくほぐれるのに、ひと口が大きいと飲み込みにくい。表面の煮汁はおいしいのに、赤身の中心をかむと乾いた感じがする。こうした角煮もあるでしょう。

目指したいのは、脂のなめらかさを楽しみながら、赤身も無理なくかめて、煮汁と一緒においしく食べられる状態です。

大きな塊が崩れる瞬間だけでなく、実際にご飯と食べたときの印象まで見てください。「次はもう少し小さく盛ろう」「仕上げの加熱を短くしよう」と、自分の家に合う調整がしやすくなります。

家族の好みと作る量に合わせて、無理なく繰り返せる方法を選ぶ

家族の中でも、脂身が好きな人と、赤身を多めに食べたい人がいます。料理する側も、休日にゆっくり作りたい日と、加熱管理の手間を減らしたい日がありますよね。

角煮づくりでは、この違いも大切にしましょう。

脂のコクを楽しむなら豚バラを選び、食べる量を調整する方法があります。脂の少ない部位へ替えたいなら、その部位に合う煮豚などの作り方を探すと、期待する仕上がりに合わせやすくなります。

普通の鍋は、途中の煮立ちや肉の状態を見ながら調整しやすい道具。圧力鍋は、機種の条件に沿って加圧し、調理時間や管理の仕方を組み立てる道具です。

私なら、「家族が食べやすかったか」と同じくらい、「また作れそうか」を振り返ります。買える肉、使える鍋、取れる時間がそろっている方法なら、次の一回で調整を重ねやすくなるからです。

なぜ脂はトロトロなのに赤身がパサつく?肉の性質と煮込み方を整理しよう

煮汁が減り勢いよく煮立つ鍋の角煮

脂がやわらかくなることと、赤身の水分が保たれることは別の変化

豚バラを煮ると、脂肪は熱によってやわらかくなり、一部が煮汁へ出ていきます。一方、赤身では筋肉のたんぱく質が加熱によって変化し、収縮に伴って水分が外へ出ます。

さらに、肉の筋線維を束ねる結合組織にも変化が起こります。そこに含まれるコラーゲンは、湿った状態での加熱によってゼラチン化し、肉がほぐれやすくなることに関係します。豚肉の加熱量とほぐれやすさの関係は、東洋食品研究所の研究でも示されています。東洋食品研究所「畜肉の加熱量とゼラチン化率の関係」

ここで覚えておきたいのは、脂肪とコラーゲンは別のものだということです。白い脂身がすべてコラーゲンでできているわけではありません。

そして、肉がほぐれやすくなったからといって、赤身の水分が十分に残っているとも限りません。加熱による肉の構造変化と水分の移動は同時に起こります。加熱に伴う肉の収縮と水分損失を扱った研究

脂はなめらか、赤身はほぐれる、でも口の中では乾く。 この組み合わせは起こり得ます。だからこそ、「トロトロになったか」だけでなく、赤身を食べた感覚まで確かめたいのです。

煮込み時間だけでなく、火加減・肉の大きさ・煮汁の減り方が関係する

同じ「2時間煮る」でも、鍋の中の条件が違えば、肉への熱の入り方や水分の減り方は変わります。

小さく切った肉と大きな塊。広い鍋と、肉が収まる程度の鍋。ふたをした状態と、ふたを開けた状態。時間だけを比べても、同じ調理にはなりません。

特に確認したいのは、煮汁が勢いよく沸き続けていないか、途中で大きく減っていないか、肉の一部が長く煮汁から出ていないかという点です。

煮汁が減ったまま加熱を続けると、味が濃くなるだけでなく、焦げ付きや部分的な乾きにもつながります。調理の後半は、最初と同じ火力のままにしてよいかも見直してください。

また、肉は食べやすくなっているのに、照りを出すために長く煮詰めている場合もあります。下ゆで、本煮、煮詰め、温め直しまで、肉は何度も熱を受けています。

「煮込み時間はレシピどおりだった」と思ったら、その前後にも加熱していなかったかを振り返ってみましょう。

圧力鍋を使ってもパサつくのはなぜ?追加加圧を繰り返す前に見直そう

圧力鍋は、内部の圧力を高め、通常の沸騰水より高い温度で調理できる道具です。時間のかかる料理を短時間で進められる一方、肉に熱が加わること自体は変わりません。

「圧力鍋なら、長く加圧するほどしっとりする」と考えないようにしましょう。

赤身の大きさや脂の付き方に加え、加圧時間、調理後の仕上げ、保温なども食感に関係します。すでにほぐれる状態の肉へ、何度も追加加圧をしても、望む食感へ近づくとは限りません。

さらに、レシピによって切る大きさや分量、下ゆでの有無が違います。別の機種向けの時間を、そのまま自分の鍋へ当てはめることも避けたいところです。

まずは、使用機種に対応するレシピで、肉の量と大きさ、液体量をそろえて作る。食べてから、次に調整する点を考える。この順番が、原因を絞りやすくします。

角煮の赤身をパサつかせにくくするには?豚バラの選び方と煮込み方の見直しポイント

赤身と脂の層を見て選ぶ豚バラブロックと切り分けた肉

豚バラブロックは、赤身と脂の層・赤身の厚さ・形のそろい方を見る

角煮用の豚バラを選ぶときは、パックの上から見える面と、横から見える断面を確認します。

上の面に脂が多く見えても、断面には大きな赤身の層があるかもしれません。反対に、上からは赤身がよく見えても、下側に厚い脂の層がある場合もあります。

見るポイントは、次の四つです。

  • 赤身と脂が、どのように重なっているか
  • 大きな赤身の部分が、どのくらいの厚さで続いているか
  • ブロックの端と中央で、厚さが大きく違わないか
  • 切り分けた一切れが、極端に細長くならないか

赤身と脂の割合には好みがあります。「必ず何対何でなければ失敗する」と決める必要はありません。ただ、前回パサついた赤身の層がとても厚かったなら、次は断面の違う肉を比べる意味があります。

私が精肉の仕事で培ってきた見方を家庭へ置き換えるなら、「この一枚をどう切ると、どんな商品になるか」を考える感覚です。ブロックを買うときも、一切れになった姿まで想像すると選びやすくなります。

価格を比べるときは、100g当たりの単価と総額の両方を確認してください。大きいパックを買っても、鍋に収まらず、使い切れなければ扱いに困ります。

脂を減らしたくてロースやももへ替えると、同じ作り方では仕上がりが変わる

「脂身が多いから、次はロースで作ってみよう」

そう考えることもありますよね。脂の量を変える選択肢はありますが、豚バラと同じ作り方で、同じ口どけになるとは限りません。

部位が変われば、脂の付き方や赤身の構成、向いている調理も変わります。

部位肉の見方作り方を選ぶときのポイント
豚バラ赤身と脂が層になっている脂のコクと赤身の食感を合わせて考える
豚肩ロース複数の筋肉があり、脂の入り方にも差がある部位に対応した角煮風・煮豚のレシピを選ぶ
豚ロース大きな赤身と外側の脂が特徴赤身への加熱を意識したレシピを使う
豚もも全体として赤身の多い部位豚バラの口どけを前提にせず、別の仕上がりを目指す

脂を減らしたいなら、まずは盛り付ける量や、煮汁に浮いた脂の扱いを見直す方法もあります。部位を替える場合は、その部位を指定したレシピから始めましょう。

私の本音として、「脂を減らしたい」と「豚バラの角煮と同じ口どけにしたい」を、一つの作り方だけで満たそうとすると迷いやすいと思います。今日はどんな食感を食べたいのかを決めると、選択肢を整理できます。

肉の大きさをそろえ、冷凍ブロックは切れる状態まで解凍する

角煮の切り分けでは、一切れの大きさをできるだけそろえます。小さな端肉と大きな塊を同じように煮ると、仕上がりをそろえにくくなるためです。

ただし、小さくすれば必ずしっとりするわけではありません。小さい肉は熱が入りやすく、レシピの時間によっては加熱が進みすぎることもあります。

まずは、使うレシピに指定された厚さや大きさへ合わせましょう。「4cm角」と「2cm厚」では、加熱の条件が変わると考えてください。

切る前には、まな板が安定しているかを確認します。豚バラは脂で滑りやすく、力を込めたときに肉やまな板が動くと危険です。肉を置く面、まな板の下、手元を整えてから進めます。

安定した作業面の作り方は、「肉を切るとまな板が滑る!包丁に力を入れる前に見直したい置き方と道具選び」でも紹介しています。

冷凍ブロックは、冷蔵庫で解凍し、無理なく切れる状態にしてから扱います。硬い塊へ体重をかけて包丁を押し込むことは避けてください。

冷凍肉の小分けで困っている方は、「冷凍肉が塊になって包丁で切れない!小分けに困ったときの対処と、次から困らない保存方法」も参考にしてください。買った日に用途別に分けておくと、次の調理が楽になります。

下ゆでと味付けの工程を整理し、一つのレシピの条件に合わせる

角煮の作り方を調べると、先に焼くもの、下ゆでをするもの、最初から調味料と煮るものなど、さまざまな方法が出てきます。

そこで起こりやすいのが、「おいしそうな工夫を全部入れてみよう」と、別々のレシピを組み合わせることです。

下ゆでがあるレシピには、その後の煮込みも含めた工程の組み立てがあります。下ゆでなしのレシピに、長い下ゆでを追加してから同じ時間だけ本煮をすると、肉が受ける加熱は増えます。

たとえば、キッコーマンの角煮は、脂を抜く前半と味を入れる後半を分けた構成です。一方、ティファールには、対象の電気圧力鍋で材料を一緒に入れて調理する角煮もあります。どちらも、それぞれの材料や器具、工程に合わせた作り方です。キッコーマンの角煮、ティファールの角煮

初めは一つのレシピを選び、肉の分量・切り方・鍋・加熱の流れをそろえる。 それで仕上がりを見てから、自分の好みに合わせるほうが比較しやすくなります。

しょうゆを入れる順番だけでパサつきの原因を決めつけるのも、いったん控えましょう。調味料の量や水分、加熱時間まで含めて作り方を確認することが大切です。

普通の鍋は穏やかな煮立ちと煮汁を確認し、仕上げの煮詰めを長引かせない

普通の鍋で煮るときは、コンロのつまみが「弱火」になっているかだけでなく、鍋の中を見てください。

同じ火力でも、鍋の材質、大きさ、煮汁の量によって煮立ち方は変わります。弱火にしていても、小さな鍋の少ない煮汁が勢いよく沸いていることがあります。

目安にしたいのは、レシピで求められる穏やかな煮立ちを保ち、肉を激しく動かし続けないことです。火を弱めすぎて加熱が進まない状態にもせず、肉の大きさに合う加熱を続けます。

ふたや落としぶたを使うか、途中で水分を補うかも、作り方に合わせましょう。肉が煮汁から出たままになったり、鍋底の汁がほとんどなくなったりしていないかは、途中で確認します。

仕上げでは、肉を食べやすい状態にする加熱と、煮汁の味や濃さを整える加熱を分けると考えやすくなります。

十分に加熱され、好みのやわらかさになった肉は、清潔な器へ一度取り出す方法があります。煮汁だけを調整し、最後に肉へ絡めれば、照りを出すために肉を長く煮続けずに済みます。

角煮を取り出すときは、強くつかむと崩れる場合があります。お玉やへらなどで下から支え、無理に持ち上げないようにしましょう。

圧力鍋は機種ごとの分量・加圧時間・圧力の抜き方を守る

圧力鍋を使う場合は、まず取扱説明書と、その機種に対応するレシピを確認します。同じメーカーでも、機種や調理モードが違えば条件は変わります。

特に見たいのは、肉の量と切る大きさ、必要な液体量、加圧時間、調理後の圧力の抜き方です。

レシピの「20分」が、材料を入れてから食卓へ出すまでの総時間とは限りません。予熱や圧力が抜ける時間、最後の煮詰めなどが別に必要な場合があります。

下ごしらえから食事までの予定を組むときは、この点も含めて考えると慌てにくくなります。

また、圧力が下がるまで待つ方法と、指定の操作で排気する方法を、自分の判断で入れ替えないでください。安全性に加え、加熱後の工程も変わってしまいます。

追加加圧をするときも、残っている液体や肉の状態、説明書の条件を確認します。パサつきが気になるからと、長い加圧を何度も繰り返す前に、一切れを食べて状態を整理しましょう。

通常の鍋で使う落としぶたや紙、アルミホイルなどを、圧力調理へそのまま持ち込むことも避けます。圧力鍋の中へ入れてよいものは、その製品の指示を優先してください。

角煮づくりに役立つ道具は?鍋・電気圧力鍋・落としぶたを困りごとで選ぼう

角煮づくりに使う鍋と電気圧力鍋と落としぶた

火加減を見ながら煮たい人に|肉の量に合う厚手の鍋

「少し火を弱めても沸き方が落ち着かない」「いつも煮汁が先になくなってしまう」

そんなときは、火加減やふたの使い方と一緒に、肉の量と鍋の大きさが合っているかを見直してみてください。

少量の肉に対して鍋が広すぎると、同じ高さまで煮汁を入れるにも量が必要になります。反対に、肉を詰め込みすぎると、途中の状態を見たり、取り出したりしにくくなります。

鍋を見直す候補のひとつが、宮崎製作所「ジオ・プロダクト 両手鍋20cm」です。メーカーによると、全面7層構造を採用し、20cmサイズの容量は2.7L、重量は約1,410g。ガス火やIHなどに対応しています。宮崎製作所公式の商品情報

煮込みだけでなく、ゆでる、焼くなどにも使えるため、普段の料理と兼用したい方の比較候補になります。ただし、容量いっぱいまで角煮を詰めてよいという意味ではありません。肉と煮汁を入れ、余裕を持って扱えるかを確認します。

私が鍋を選ぶなら、火の入り方と同じくらい、洗うときの重さも気にします。鍋だけなら持てても、料理や水が入ればさらに重くなるからです。

今の鍋で穏やかに煮られ、分量も収まっているなら、その鍋を使いながら調理条件を整える方法もあります。買い替える場合は、「何が扱いやすくなるか」を具体的にしてから選びましょう。

加熱管理の手間を減らしたい人に|煮込みと仕上げを調整できる電気圧力鍋

角煮を作りたいけれど、コンロの前で火加減を確認する時間を取りにくい。そんな方は、電気圧力鍋の使い方を比較してみる価値があります。

候補は、ティファール「ラクラ・クッカー 電気圧力鍋」。公式サイトで案内されているCY380BJ0は容量3Lで、圧力調理に加え、「煮る」「煮つめ仕上げ」などの通常調理モードを備えています。内なべはセラミックコーティングで、食洗機対応とされています。ティファール公式の商品情報

角煮づくりで注目したいのは、肉へ火を入れる工程と、最後に煮汁を調整する工程を、機種の手順に沿って組み立てられるかという点です。

購入前には、本体容量に加え、実際に調理できる分量、置き場所、ふたを開けるための上の空間も確認してください。内なべ、ふた、パッキングなど、使った後に洗う部品も見ておきたいところです。

本音をいうと、便利そうという印象だけで家電を増やすと、出し入れが面倒になってしまうことがあります。角煮のほかに、スープや煮物などでどれくらい使うかを考えると、暮らしに合うか判断しやすくなります。

また、電気圧力鍋を選んでも、肉の大きさや分量を確認する工程は必要です。手間を減らせる部分と、自分で合わせる条件を把握して使うことが、次にも生かせる料理につながります。

普通の鍋で煮汁の回り方を整えたい人に|サイズの合う落としぶた

大きな鍋を買い替えるほどではないけれど、普通の鍋で煮るときの扱いを少し整えたい。そんな場合は、落としぶたを比較する方法もあります。

落としぶたは、食材の上へ置いて使う道具です。レシピで指定されている場合に使い、煮汁を回したり、食材の動きを抑えたりする助けにします。

候補のひとつが、マーナ「ブタの落としぶた」。シリコーンゴム製で、小・中・大の3サイズがあります。メーカーが案内する直径は、小が約13.5cm、中が約17.5cm、大が約21.5cmです。鼻の穴に菜箸を入れるなどして持ち上げられる形になっています。マーナ公式の商品情報

選ぶときは、鍋の表示サイズだけでなく、内側の大きさと、食材を並べた状態を考えます。大きすぎて収まらない、小さすぎて目的に合わないということがないよう確認しましょう。

使用中は熱くなりますし、シリコーン製でも、直火へ触れさせてよいわけではありません。製品の注意事項を守って扱ってください。

落としぶたがあれば煮汁の確認を省ける、というものでもありません。水分量と火加減は引き続き見ます。圧力調理では、通常の鍋と同じ使い方をしないことも大切です。

今の困りごと比較する道具購入前の確認事項
分量に対して鍋が合わず、調整しにくい肉の量に合う鍋内径、深さ、重さ、熱源、洗いやすさ
加熱管理の手間を減らしたい電気圧力鍋調理できる分量、対応レシピ、設置場所、手入れ
通常の鍋で煮汁の回り方を整えたい落としぶた鍋とのサイズ、素材、取り出し方、使用条件

道具へお金をかけるなら、自分が繰り返し困っているところを減らせるかを見てください。角煮以外の料理でも出番があるかを考えると、選ぶ理由がはっきりしてきます。

次の角煮で試そう!買い物・煮込み・食べ切りまでの実践ポイント

ほぐした角煮の丼と食べる分を分けた保存容器

買う前に作る量と鍋を決め、豚バラの断面を確認する

次に角煮を作るときは、スーパーへ行く前に、何人でどのくらい食べるかと、使う鍋を決めてみましょう。

レシピが決まっていれば、指定の肉の分量と切り方も確認します。売場で大きなブロックを見つけても、調理量をその場で大幅に増やさず、鍋へ収まるかを考えてください。

買うときの確認は、次の順番にすると整理しやすくなります。

  1. 豚バラなど、レシピで指定された部位か。
  2. 作る量と予算に合っているか。
  3. 赤身と脂の層が好みに合うか。
  4. 厚さや形をそろえて切れそうか。

精肉売場で加工を相談できる場合は、希望する厚さや用途を伝える方法もあります。対応できるかは店舗や商品によって違うため、購入前に確認してください。

一度に変えるポイントを絞り、肉の大きさと加熱条件をメモする

たとえば、週末に家族の角煮を作る場面を考えてみましょう。前回の赤身がパサついたので、今回は失敗したくない。そう思うと、肉も鍋も調味料も全部変えたくなりますよね。

でも、一度に変えすぎると、何が仕上がりに関係したのか分かりにくくなります。

まずレシピの条件をそろえ、そのうえで「仕上げに肉を取り出して煮汁を調整する」など、見直すところを絞ってみてください。

記録は長くなくて構いません。「豚バラ600g」「指定どおりの厚さ」「仕上げは煮汁だけ調整」「赤身の食感は前回より食べやすかった」といった短いメモでも、次の参考になります。

私が家庭で大切にしてほしいのも、この小さな振り返りです。経験を重ねることは、毎回同じように長く煮ることではなく、肉と仕上がりを見て、次へつなげることだと思っています。

できあがった角煮がパサついたら、煮汁を添える・ほぐす・料理を替える

今日作った角煮がすでにパサついているなら、食べ方を変えてみましょう。

まず試しやすいのは、一切れを食べやすい大きさへ分け、煮汁を適量添える方法です。濃く煮詰まった汁なら、味を確認して水分を加え、食べやすい濃さへ整えます。

もう少し手を加えるなら、赤身を細かくほぐし、煮汁と合わせて丼の具にします。ねぎなどの薬味を添えると、かたまりのままとは違う食べ方を楽しめます。

チャーハンの具にする場合は、小さめに切り、再加熱に必要な加熱をしたうえで、長く炒め続けないようにします。角煮の味が付いているので、ほかの調味料を入れる前に濃さを確かめましょう。

これらは、失われた水分を完全に元へ戻す方法ではありません。一口の大きさや、煮汁との組み合わせを変え、食べやすさを整える工夫です。

本音として、少しパサついたからと、時間をかけた料理を全部失敗にしたくはありません。今あるおいしい味を、別の形で生かしてみてください。

保存と温め直しでも加熱しすぎを避け、必要な分ずつ食べる

角煮は作り置きしたくなる料理ですが、鍋のまま室温へ長時間置いておくことは避けましょう。

残す分は清潔な器具で取り分け、浅い容器へ小分けして速やかに冷まし、冷蔵します。厚生労働省も、残った食品は早く冷えるよう浅い容器に分け、温め直すときは十分に加熱するよう案内しています。厚生労働省「家庭での食中毒予防」

温め直しは、食べる分だけを取り出すと、残りまで何度も加熱・冷却することを減らせます。煮汁も適量使い、焦げ付かせないように温めます。

中心まで十分に再加熱することを優先し、その後も必要以上に煮詰め続けないようにしてください。初めて調理する豚肉の加熱では、中心部75℃で1分間以上が家庭での目安です。見た目の照りや、煮汁の温かさだけで判断しないことが大切です。

片付けまで含めて作業を整えたい方は、「肉を切ったまな板、洗うのが面倒…包丁を使う日・使わない日の下処理と片付けのコツ」も参考にしてください。次の調理を始めやすい状態まで整えると、角煮づくりの負担も考えやすくなります。

まとめ|角煮の赤身がパサつくときは、肉の断面と煮込み条件から見直そう

豚の角煮とご飯やみそ汁を並べた食卓

角煮の脂がトロトロでも、赤身までしっとりしているとは限りません。脂の状態、肉のほぐれやすさ、かんだときの水分感を分けて考えると、見直すところを絞りやすくなります。

肉選びでは、豚バラの断面、赤身と脂の層、ブロックの厚さや形を確認しましょう。調理では、レシピに合わせて大きさをそろえ、火加減、煮汁の量、加熱時間を見ます。

食べやすくなった肉を、照りや味の濃さのために長く煮続けていなかったかも振り返ってみてください。圧力鍋では、機種ごとの分量や加圧・排気の手順を守ることが大切です。

道具は、鍋の大きさが合わない、加熱管理の手間を減らしたいなど、今の困りごとに合わせて選びましょう。

精肉の仕事で約25年、さまざまな肉を扱ってきた私が家庭でも役立つと思うのは、目の前の肉をよく見ることです。次に豚バラを買う日は、断面を一度確認し、前回の肉と煮込み方を比べるところから始めてみてください。

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